2019 Fiscal Year Annual Research Report
Planetesimal formation process explored by calculations of the material strength of small bodies in our solar system
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19J20351
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
辰馬 未沙子 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 微惑星形成 / 彗星 / ダスト / 原始惑星系円盤 / 引張強度 / せん断強度 |
Outline of Annual Research Achievements |
惑星はどのようにできたのだろうか。現在の惑星形成論においては、原始惑星系円盤内で1ミクロン程度のダストと呼ばれる個体微粒子が集まり、惑星が形成したと考えられている。このダスト成長は衝突破壊により止まる可能性があり、破壊が作る破片は観測されている原始惑星系円盤のダストサイズを説明できると考えられてきた。ここで我々は別の破壊メカニズムとして、星間空間のダストで議論されてきたダストの自転運動による破壊を惑星形成に導入し、ダスト成長に影響を与えうることを明らかにした。本研究をまとめた論文は当該年度に国際学術雑誌に投稿され、現在査読中である。また、国内・国際研究会での発表も行った。 また、ダストが集まった物体の引張強度を付着を考慮したN体計算を用いて求め、探査により解明された彗星の引張強度と比較した研究をまとめた論文は、査読を経て当該年度に国際学術雑誌に掲載された。国内・国際研究会での発表も行った。 さらに、これらの応用として、探査により解明された彗星のせん断強度と比較するために、ダストが集まった物体のせん断強度を付着を考慮したN体計算を用いて求めるための計算コードを改良し、テスト計算を行った。この研究が完成すると、ダストの自転運動中にはたらくせん断応力と比較することができ、自転運動中に引っ張られるのか、せん断の力によりちぎれるのか、結論づけることができる。現在、パラメータを変えて計算を行なっている途中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は予期していなかった原始惑星系円盤でのガス流が引き起こす高空隙ダストの回転による破壊の可能性を探ってみたところ、微惑星形成過程に影響を与えうることがわかり、急遽論文にまとめた。これは、2019年に星間空間のダストにおいて議論された論文が発表されたため、それを惑星形成に応用した形となる。そのため、当初計画していた焼結の効果よりも、ダスト集合体のせん断強度の学術的意義のほうが高いと判断し、せん断強度を求める計算を開始した。この研究計画変更も考慮し、総合的に見て本課題研究「太陽系小天体の物質強度計算で探る微惑星形成過程 」としてはおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はダスト集合体のせん断強度・圧縮強度を多体計算により理論的に定式化し、それらを太陽系内小天体の観測・測定値と比較することで、小天体の形成過程を明らかにする。せん断強度・圧縮強度の多体計算にはパラメータサーチが必要なため多くの時間を要する予定だが、最終的には論文にまとめて国際学術誌に投稿する計画である。また、その研究の実施と並行し、昨年度に国際学術誌に投稿し現在査読中の研究内容を国内・国際学会で発表する予定である。
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Research Products
(12 results)