2020 Fiscal Year Annual Research Report
Planetesimal formation process explored by calculations of the material strength of small bodies in our solar system
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19J20351
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
辰馬 未沙子 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 微惑星形成 / ダスト / 原始惑星系円盤 / 引張強度 / 圧縮強度 / 小惑星 / 彗星 / 太陽系外縁天体 |
Outline of Annual Research Achievements |
惑星はどのようにできたのだろうか。現在の惑星形成論においては、原始惑星系円盤内で0.1ミクロン程度のダストと呼ばれる個体微粒子が集まり、惑星が形成したと考えられている。このダスト成長は衝突破壊により止まる可能性があり、破壊が作る破片は観測されている原始惑星系円盤のダストサイズを説明できると考えられてきた。ここで我々は別の破壊メカニズムとして、星間空間のダストで議論されてきたダストの自転運動による破壊を惑星形成に導入し、ダスト成長に影響を与えうることを明らかにした。本研究をまとめた論文は現在査読中である。また、国内研究会での発表も行った。 さらに、小惑星、彗星、太陽系外縁天体など太陽系小天体の形成過程についての研究も行なった。これらの形成過程は直接付着成長や不安定性など諸説ある。これを探るため、我々はその物質強度に着目した。数百メートルを超える大きさの天体の内部密度は自己重力と圧縮強度のつりあいで決まると考えられている。本研究ではサブミクロンサイズのダストの集合体の圧縮強度をダスト付着N体計算で求めた。さらに、ダスト集合体の自己重力と圧縮強度がつりあうと仮定して内部密度を求め、太陽系小天体の内部密度と比較し、それらの形成過程を明らかにした。その結果、太陽系外縁天体は氷やシリケイトのダスト集合体で、彗星はシリケイトダスト集合体で説明できることがわかった。一方、小惑星の密度は、本研究のようなダスト集合体では説明できないほど高密度であることがわかった。このような高密度な天体を形成するには、まず数十キロメートル以上の大きさの天体を形成する必要がある。すなわち、小惑星は破片の集合体であり、その母天体の大きさは数十キロメートル以上であることが理論的に示唆される。本研究について、国内・国際研究会での発表を行なった。現在、結果が出揃ってきたため、論文執筆を開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に国際学術雑誌に投稿され、現在査読中の研究結果について、新型コロナウイルスの影響で国内外の研究会が延期・キャンセルされている中、可能な限り多くの国内研究会で発表を行うことができた。 さらに、当初は予期していなかったが、計算コードの改良に成功し、より高密度まで圧縮強度が計算できたため、太陽系小天体の内部密度との比較ができるようになった。そのため、急遽ダスト集合体の内部密度を、その自己重力と圧縮強度がつりあうと仮定して求め、結果にまとめた。国内・国際研究会での発表を行なったところ、非常に学術的意義が高いとの評価を得たため、現在論文を執筆している。この研究計画変更も考慮し、総合的に見て本課題研究「太陽系小天体の物質強度計算で探る微惑星形成過程」としてはおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は現在執筆中の論文を国際学術誌に投稿し、それと並行して本研究内容を国内・国際学会で発表する予定である。さらに、高密度側圧縮強度についてより細かいパラメータサーチやモデル化、実験との比較を行なう論文を追加で執筆する予定である。多くのパラメータサーチが必要なため、追加計算も行う。
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Research Products
(10 results)