2020 Fiscal Year Annual Research Report
Autonomous Gait Control for a Free-Climbing Robot in Consideration of the Terrain Information and the Gripping Mechanics
Project/Area Number |
19J20685
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宇野 健太朗 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | クライミングロボティクス / 脚型ロボット / 鉤爪型グリッパ / 把持力 / 自律移動ロボット / SLAM / 最適化制御 / 惑星探査ロボット |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,4脚型クライミングロボットHubRoboを完成させ,本ロボットをロッククライミング移動させるための歩容動作を細かくシーケンスに切り分け,それら一部を自動化するソフトウェアを構築した.この制御ソフトウェアを用いてHubRoboを前年度開発した不整地登攀実験フィールド上で遠隔操作し,ロボットが自動生成した環境地図情報にもとづきオペレータが遠隔から必要最小限のコマンドを送ることで,ロボットが半自律的にクライミング移動可能であることを実験的に実証することに成功した.また,本研究の中で開発を進めてきたMATLAB言語による動力学シミュレーション・プラットフォームClimbLabを完成させ,オープンソース化も完了させた.ClimbLabはクライミングロボティクス研究に特化したシミュレータであり,これを用いて,自律クライミング動作に必要な要素技術の開発も進めてきた.具体的には,鉤爪型グリッパに適した地形凸部点をロボットのしがみ付きの候補点とした「把持候補点群」の中から適切にしがみ付き点を選択し続けることで,ロボットが目的地に向かって前進し続けられることを確認した.また,ロボットが繰り出す脚の選択に把持候補点の密度を考慮することで,目的地到達の所要時間効率を向上させることを示した. また,スイス連邦工科大学チューリッヒ校研究室との共同研究として,現在の4脚ロボットとしてメジャーな設計例である哺乳類型関節配置と昆虫型関節配置の2種類の設計モデルが急傾斜を登攀移動する際の挙動を,ClimbLabを用いてシミュレートし,安定性とエネルギ効率,そして可操作性の観点からシミュレーション結果を解析することで昆虫型ロボットの方が哺乳類型ロボットに比べ,可操作性をより高く保ちながら少ない消費エネルギでクライミング移動可能であることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は本研究で用いるロボットテストベッドHubRoboとシミュレーション・プラットフォームClimbLabの完成により,実験とシミュレーションの双方から自律クライミング移動に必要な要素技術の検証を実施可能な段階に進むことができた.オペレータの遠隔操作による半自律クライミング実験の成功は自律フリークライミング移動の実現という,本研究課題の根幹部分の解決に大きく近づく成果ととらえており,また,ClimbLabを用いて,ロボットの鉤爪型グリッパで把持可能な凸点である「把持候補点」の検出アルゴリズムと,これらの把持候補点の分布を考慮した遊脚の選択手法の有効性をそれぞれ実証でき,さらに,安定性と可操作性を考慮したロボットベースの移動計画手法についても,その実装の大部分を終えることができている. また,スイス連邦工科大学チューリッヒ校との共同研究プロジェクトとして本来は留学先のロボットテストベッドを用いたクライミング実験を現地で行う予定であったがCOVID-19の影響で避難帰国することになってしまったものの,研究方針をやや変更し,実現場で運用されるであろうクライミングロボットは計測機器の搭載や物資運搬能力向上のために数十kgクラスのサイズが必要であることから,ClimbLabを用いて大型クライミングロボットの動的なシミュレーションベースの研究をリモートワーク体制で共同実施し,結果を解析することで大型の脚型クライミングロボットの設計解につながる有用な結果を得ることができた.以上を踏まえ,研究計画に方針転換はあったものの,本研究の根幹部分である「自律フリークライミングロボットの実証」という課題解決に大きく近づけたと捉え,おおむね順調に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では,本年度で達成した半自律クライミングの次なる段階として,HubRoboによる完全自律クライミング移動の実現を目指す.具体的には,転倒安定性と脚の可操作性を考慮したロボットベースの移動計画手法を完成させ,ClimbLabを用いてその有効性を検証した後,HubRobo実機に実装して実証実験を行う.なお,この段階では地図構築と把持候補点検出に関しては,まずはオフラインで事前に行うこととする.次に,クライミングロボットが未知環境において移動探査を行う状況を想定し,限られた地形環境情報にもとづき,離散的に検出される把持可能点を適切に選択して掴みながら目的地点に到達するための最適化計算による経路計画手法を構築する.そして本研究の最終段階として,地形センシング,地図生成,自己位置推定,把持候補点検出,離散把持候補点上の経路計画,安定性と可操作性を考慮したロボットベースの移動,といった一連の自律動作フローをリアルタイムで行える完全自律クライミングロボットシステムの具現化を目指す.
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Research Products
(7 results)