2020 Fiscal Year Annual Research Report
高速逐次視覚呈示(RSVP)を用いた視覚的注意の発達過程の検討
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19J21422
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
鶴見 周摩 中央大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 乳児 / 注意 / 発達 / 知覚 / 認知 |
Outline of Annual Research Achievements |
視覚的注意の発達過程を調べたこれまでの研究は、主に空間的・物体的側面に焦点をあてており、時間的な側面については未知の部分が多い。本研究では、高速逐次視覚提示課題を用いて、乳児の視覚的注意の時間的側面を検討した。 高速逐次視覚提示では、複数の画像が同位置に1秒間約10個の速度で提示される。その画像系列に含まれる2つの標的を検出するとき、2つの標的の提示間隔が500ms以下である場合、1つ目の標的は検出できるが、2つ目の標的は見落とされる。これは注意の瞬きとして知られており、成人や児童を対象に広く研究されてきた。本研究では、注意の瞬きが生後1年未満の乳児(7-8ヶ月児)でも生じるのか調べ、視覚的注意の時間的側面の発達を検討した。実験では、馴化法を用いて、標的として2人の女性顔を含んだ画像系列を提示し、2つの標的顔を同定できるか調べた。このとき、標的間の時間は、注意の瞬きが生じるとされる200msと生じない800msを用意した。実験の結果、800msでは2つの標的を同定できたが、200msでは1つ目の標的しか同定できず、注意の瞬きが生じることが示された。乳児実験と同じ条件で成人を対象にも実験を行った結果,乳児同様200msで注意の瞬きが生じた。一方で,800msでは2つの標的を同定できた。これらの結果は,標的の処理に関して,乳児においても成人と同じような時間的な制約があることを示唆しており、1つの標的の処理にかかる時間が200ms以上、800ms以内であることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高速逐次視覚提示課題を用いて,成人で広く調べられている時間的な注意の側面を測る注意の瞬きが,乳児においても生じることを明らかにできた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は行動実験だけでなく,生理指標を用いた実験も計画している。具体的には,脳波計測を行うことで,時間的な注意の神経メカニズムの解明を目指す。得られた研究成果については,国内外の学会において発表を行い,年度中の論文投稿を予定している。
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Research Products
(2 results)