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2020 Fiscal Year Research-status Report

14世キリスト教霊性における神化思想の受容と展開:エックハルトとゾイゼを中心に

Research Project

Project/Area Number 19K00119
Research InstitutionRikkyo University

Principal Investigator

阿部 善彦  立教大学, 文学部, 准教授 (40724266)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2024-03-31
Keywords神化思想 / ドイツ神秘思想 / 身体性 / 聖餐論 / 霊的修練 / フランドル神秘思想 / シュネルギア
Outline of Annual Research Achievements

今年度は、本研究課題のうち、特に、1)14世紀以降のキリスト教霊性史の根本動向の解明と、2)神化思想と密接する実践論・禁欲的修行論の解明、また、3)東方キリスト教霊性との共通的基盤の解明に取り組んだ。
1)については、特に、タウラーの名が帰せられている有名な偽書の一つ『タウラーの霊的綱要』に関する、最近の研究動向を菊地智博士(ベルギー、ルーヴァン大学研究員)から情報提供を受けつつ、霊的修練や完徳的生活の理想と模範の語り方が、エックハルト以降の時代においてどのように展開していったか検討を進めた。
2)については、聖餐論や身体性の観点からテキスト解釈および資料収集を進め、神化思想の核心にある受肉による救済は、至福直観において実現するものとして叡智的次元に向けて語られているだけでなく、聖餐(エウカリスチア)において実現するものとして身体的次元に向けても語られていることがわかった。13世紀には、キリストの聖体(corpus Christi)への関心が高まり、ウルバヌス四世によって聖体の祝日が制定された(1264年)。聖体の祝日の祭儀および説教に関連して、トマスやエックハルトの受肉による救済の身体的次元への考察が深められていることがわかった。このような傾向は、タウラーに帰せられている四つの聖体の祝日に関するドイツ語説教においても、エックハルトに非常に近い考察がなされていた。また、エックハルト、タウラーにおいては、いかにして聖餐にあずかるべきかに関連して、神化思想と密接する実践論・禁欲的修行論が展開されるトポスとなっていた。
3)については、東方キリスト教の神化思想におけるシュネルギア(神人協働)論の根幹にある、受肉による救済の理解をあらためて、キリストの身体による救済の観点から考察を進め、2)で見たような、聖餐論的文脈を含めた、東方キリスト教との比較可能性を探ってゆく見通しを得た。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

コロナの関係で、研究者相互の交流について、当初想定しているようには進められなかった。ただ、年度後半では、オンラインの活用や海外誌への投稿(投稿済み。21年度中に刊行予定)などによって補足できたものもあった。

Strategy for Future Research Activity

来年度は、ひきつづき、1)14世紀以降のキリスト教霊性史の根本動向の解明と、2)神化思想と密接する実践論・禁欲的修行論の解明、また、3)東方キリスト教霊性との共通的基盤の解明を進めてゆく。
1)については、今年度に新たに問題理解を深めることのできた、神化思想の聖餐論的、身体的文脈をみすえつつ、タウラー、ゾイゼ、リュースブルクなどのテキストを読み直し、必要な資料を集めてゆく予定である。
2)については、神化思想における人間の完成が、至福直観(visio beatifica)に向けて語られているだけでなく、聖餐(エウカリスチア)において先駆的に実現し、終末的に成就するキリストの身体への生命的一致に向けても語られていることがわかってきたため、中世盛期から後期にかけての重要問題であった至福直観をめぐる論争を視野に入れつつ、受肉による救済が至福直観の理想とどのような関係にあったのか、エックハルトのみならず、トマス・アクィナス、アルベルトゥス・マグヌス、シュトラースブルクのウルリッヒなどのテキストも検討対象として読解と資料収集を進める。
3)については、2)と関連して、聖餐論的文脈を含めた、東方キリスト教との比較可能性をひきつづき探ってゆく。その際、特に、西方への影響が明らかである偽ディオニシオス・アレオパギテスのエウカリスチア論を取り上げてゆく。

  • Research Products

    (1 results)

All 2020

All Journal Article (1 results)

  • [Journal Article] 研究ノート エックハルトの『教導講話』における身体性について2020

    • Author(s)
      阿部善彦
    • Journal Title

      キリスト教学

      Volume: 62 Pages: 87,116

URL: 

Published: 2021-12-27  

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