2019 Fiscal Year Research-status Report
Wyndham Lewis's Thoughts on Media: On the Interface Between Art and Ideology
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19K00137
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Research Institution | Atomi University |
Principal Investigator |
要 真理子 跡見学園女子大学, 文学部, 准教授 (40420426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 茂 京都精華大学, 人文学部, 教授 (80368042)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ウィンダム・ルイス / モダニズム / メディア論 / ナショナリズム / グローバリズム / 感性論 / アート / イデオロギー |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、本研究課題に関連する基礎的な資料の収集と国内での研究会(6月と3月に跡見学園女子大学、12月に武蔵野美術大学)の実施と国際学会での発表・シンポジウムへの参加、作品調査を行った。具体的には、 1.文献に関して、国内で入手できるもの(複写・電子データ)を中心に収集し、国外のものはリストアップするに留めた。 2.作品に関して、12月の研究会で、研究協力者である武蔵野美術大学田中正之教授のご厚意で大学図書館所蔵の貴重書『ブラスト』初版本の計測・調査を行った。また、3月米国のテキサス大学ハリー・ランソム・センターでルイスの素描12点を実検した結果、うち3点が疑わしいものであることがわかった。 3.研究成果(中間報告)の公開として、研究代表者と研究分担者前田茂は、7月にベオグラード大学(セルビア)で開催された国際美学会議で口頭発表を行った。代表者の発表の原案となる日本語論文は、2019年5月に刊行された『イギリス美術叢書Ⅳ』に所収されたものである。さらに、代表者は、2020年3月に刊行された跡見学園女子大学文学部紀要に研究論文を寄稿した。研究分担者は、ルイスの著作『アングロサクソン気質:実効性のある同盟関係』の翻訳(連載中)の後続部分を解題を添えて京都精華大学紀要(2020年3月刊行)に寄稿した。 4.今年度夏期に予定していた英国での調査が、家族の看護の必要からキャンセルとなってしまった。そのため、英国での資料収集と研究協力者であるポール・エドワーズ教授(ウィンダム・ルイス記念財団・評議員長)との対面による意見交換がかなわなかったため、10月にスカイプを通じて本課題についての進捗状況の報告を行った。幸い、3月にニューヨーク大学で開かれた国際シンポジウム「Reading McLuhan Reading」における同教授の講演の際、直接会うことができ本課題についての助言を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遅れている主たる理由は次の二つである。1.2019年度夏期において家族の看護の必要から英国での海外調査がキャンセルとなったこと、2.同年3月に予定していた国内研究会と米国調査の規模をCOVID-19拡大の影響により縮小せざるを得なかったこと。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は、研究代表者、研究分担者、研究協力者2名が、それぞれの分担に従事すると同時に、研究上の意見交換(オンライン)を密に行う。分担については、研究代表者は、ルイスの1910年代から20年代の思想を未刊行資料も合わせて読解し、以下に予定される研究分担者の分析と総合した上で、これらと造形作品に通底する特徴の時期的な関連、さらに「a big village」と「グローバル・ヴィレッジ」との親和性を検証する。研究分担者は、1920年代後半から40年代前半のルイスの『Art of Being Ruled』(1926)から『America and Cosmic Man』までを読み解き、その思想的展開をたどる。研究協力者2名には、本研究の助言と資料提供、最終年度シンポジウムでの講演を依頼する。2020年度は、COVID-19拡大の影響で、海外はもちろん国内の移動も制限され資料調査も困難である。また、学術団体が主催する例会や大会、シンポジウム等も自粛を余儀なくされるなか、大規模な研究会の発足も難しいため、今年度は、英国モダニズムやルイスに関心のある研究者をリストアップし、研究のネットワークを構築することを目指す。こうしたネットワークは、本研究課題期間終了以後も継続し、ルイス関連書籍の出版、およびルイス展の開催を目標とする。 2021年度は、国際シンポジウムを開催し、同シンポジウム報告書を作成する。並行して、ルイス研究会を実施する。国際シンポジウムと国内研究会での成果として、発表原稿から成る報告書にとどまらず、翻訳および最新の研究論文を加えたルイス関連書籍の出版を目指す。さらには、研究期間終了後の研究継続のための打合せ(海外の協力者や関係者にはメールで連絡)を行う。 海外ゲストの招聘や海外調査が依然として難しい場合など、状況次第では、2022年度まで研究期間の延長も視野に入れている。
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Causes of Carryover |
次年度使用が生じた理由は3つある。1. 2019年度夏期において家族の看護の必要から海外調査がキャンセルとなったこと、2. 同年3月に予定していた国内研究会や海外調査期間をCOVID-19拡大の影響により縮小せざるを得なかったこと、3. 科研採択が決定する以前に申請した2019年度の学内助成が採択され、セルビア(7月)と、米国(3月)への旅費を充当することができたことである。 以上の3つの理由により、当初計画していた旅費分の助成金が未使用となった。また、調査が進んでいないことにより、文献購入等もほとんど行わなかった。2020年度も依然として、上述の状況を見据えたままではあるが、2019年度未使用分に関しては、2019年度実施する予定だった海外調査と文献複写・購入、研究会開催の費用とする。また、1. の理由から、研究代表者が国内外の移動が難しい場合、代表者に代わって研究分担者に計画の一部を遂行してもらうため、今年度の途中で研究分担者への配分額を予定より増額する可能性もある。しかし2. の理由で状況が好転しない場合、次年度以降に計画・助成金を繰り越すことも念頭に置いている。
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Research Products
(6 results)