2021 Fiscal Year Research-status Report
アビ・ヴァールブルクの社会的記憶のイメージ論と最晩年のジョルダーノ・ブルーノ研究
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19K00156
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
岡本 源太 岡山大学, 社会文化科学学域, 准教授 (50647477)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アビ・ヴァールブルク / ジョルダーノ・ブルーノ / 情念定型 / 感情論 / 神的狂気 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は当研究計画の三年目にあたり、計画通り、ヴァールブルク文化科学の二大テーマ系「情念定型」と「占星術図像」のうち前者に焦点を当てて、研究を進めた。 ヴァールブルクはブルーノの著作のうち、まずは占星術図像との関連から『傲れる野獣の追放』を検討したあと、『英雄的狂気』を集中的に読解しており、それが彼のブルーノ解釈の転換点になったが、この点を美学史上のブルーノによる感情論の刷新と関連付けて検討した。あわせて、ブルーノ晩年の草稿『紐帯一般について』第一部の翻訳を出版した(池上俊一監修『原典イタリア・ルネサンス芸術論』上巻、名古屋大学出版会、2021年、43-60頁(解題44-46頁)。これは、ブルーノの政治哲学と美学を統合する著作といえるが、ヴァールブルクがとくに注目したブルーノ『英雄的狂気』おけるアクタイオン神話の変形の感情論的基礎を示す著作としても考えられる。ひきつづき第二部、第三部の邦訳も進行中である。なお昨年度に引き続き本年度も、新型コロナ・ウイルス感染症の流行により、イタリアの調査計画の延期を余儀なくされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ・ウイルス感染症の流行により、予定していた海外調査をおこなうことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画にもとづいて、次年度はブルーノ呪術論草稿群とヴァールブルク『ムネモシュネ・アトラス』の検討を始める。コロナ禍による研究の遅れは、理論的考察に比重を移すことでおぎなう。
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Causes of Carryover |
新型コロナ・ウイルス感染症の流行により、予定していた海外調査をおこなうことができなかった。次年度に海外調査が可能になればそれに使用するが、引き続きできないならば、研究資料の購入や海外研究者とのオンラインでの意見交換・共同研究会などに使用する。
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Research Products
(1 results)