2022 Fiscal Year Research-status Report
Cecile Chaminade:Piano works
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19K00216
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
坂井 千春 東京藝術大学, 音楽学部, 教授 (40381925)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 女流作曲家 / ピアノ曲 / ベル・エポック / フランス音楽 / シャミナード |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年のシャミナードのコンサートのライヴ録音と、新たに録音したソロ曲を組み合わせたCD「シャミナード作品集」を22年8月に完成し、多くの方に差し上げて非常に好評でした。 このCDの収録曲のうち数曲は、ピティナ(全日本ピアノ指導者協会)の無料サイト「ピアノ曲辞典」にも掲載されました。掲載にあたり、音源だけではなく映像も自身で作成して、時代背景などの理解も合わせてシャミナードの音楽が実感できるように工夫しました。 「傷ついた小さな兵士の子守歌」では、実際にシャミナードが第一次世界大戦の時に病院で負傷兵の看護にあたっていたことから、第一次大戦の犠牲者の石碑も画像に映し出し、美しい音楽が単に表面的なものではなく、全てを浄化して優しい母親の境地に達していることを伝えたいと思いました。「ピエレット(女ピエロ)」では、ベル・エポックのピエロとピエレットの絵なども映し出して、日本人に馴染みの少ないピエレットへの理解の補助になるべく構成しました。これは会員限定の無料サイトですが、日本中の多くのピアノ指導者や勉強者が活用しています。 また、2022年11月には、石崎真弥奈氏指揮、東京交響楽団とシャミナードのピアノ協奏曲(コンチェルトシュトゥックop.40)を東京オペラシティコンサートホールで弾かせて頂きました。これは、おそらく本邦初演で、かつて欧米でよく演奏されていたのに忘れられていた、この女性作曲家の協奏曲を、再び生きた音にして再生できたのは意義あることだったと思います。21年のコンサートでは同曲を室内楽編曲版で演奏しましたが、原曲の迫力のある彼女のオーケストレーションは、19世紀後半の男性作曲家に負けない大編成のスケールだったことを証明しました。 昨年度は、様々な形で多くの方々にセシル・シャミナードの音楽を知ってもらい、少しでも世の中に広めることができたと自負しております。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全音楽譜出版社から出版予定のシャミナードピアノ作品集2巻の運指、ペダリング部分は完成しましたが、まだ曲目解説パートが残っています。それを仕上げて今年度中に出版に持ち込めるように努めます。 2021年の夏にフランスに行き、シャミナードの楽譜の専属出版をしていたエノック出版社やパリ国立図書館を訪ねましたが、自筆譜は残っていませんでした。エノック社の紹介で、シャミナードの親類に当たる方も訪ねましたが、ヴァカンス中でお会いできず、また自筆譜もないということでした。 自筆譜の収集は諦めて、現在残っている資料から執筆をすすめていくつもりです。今まで実際に多く演奏してきた経験から、主に演奏についての助言、注意事項を中心にする予定です。
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Strategy for Future Research Activity |
シャミナードのピアノ作品集が完成したら、シャミナードの生涯を物語的に記した「Scarf Dance」Laura Kerr著、の翻訳を計画しています。シャミナードの肖像やパリの風景写真も交えて、親しみやすい簡単な伝記を執筆できたらと思っています。 同時に、シャミナードから枠を広げて、同世代のアメリカの女性作曲家エイミー・ビーチ、少し後の世代のフランスの女性作曲家、ジェルメーヌ・タイユフェール、リリー・ブーランジェの研究も次にすすめていく予定です。
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Causes of Carryover |
コンサートの映像とミスを修正した音源とを合わせる作業が時間がかかり、支払いが次年度に持ち越されることになりました。
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