2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K00300
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Research Institution | Yamaguchi Prefectural University |
Principal Investigator |
菱岡 憲司 山口県立大学, 国際文化学部, 准教授 (10548720)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 小津久足 / 小津桂窓 / 紀行文 / 自筆稿本 / 伊勢文化圏 / 松坂商人 |
Outline of Annual Research Achievements |
小津久足の紀行文は、道中記録・草稿本・清書本がそれぞれ主として小津家・日本大学図書館・天理大学附属天理図書館に所蔵される。本年度は、小津久足紀行文の全容解明のため、来年度以降の持続的な研究と成果発表を行うための資料収集や基礎作業を重点的に行うものと位置づけ、収集と作業につとめた。 具体的には、天理大学附属天理図書館の草稿本のうち、『小津久足紀行文選(仮)』(和泉書院)として刊行予定の『姨捨日記』以下6点の紀行文を紙焼き写真にて取り寄せ、分析を行った。また、同じく慶應義塾大学文学部図書室所蔵の久足紀行文『青葉日記』に関しても、画像複写を依頼し、翻刻許可を得たうえで、分析と翻刻にとりかかった。同時に、小津久足関係の資料を、購入したA3フラットベッドドキュメントスキャナーにてデジタル化した。 また、小津久足『陸奥日記』について、東北大学災害科学国際研究所の佐藤大介准教授をはじめとした歴史学の研究者とともに、9月9・10日は栃木、1月11・12日は福島にて陸奥日記研究会を開催し、小津久足紀行文について、文学と歴史学双方からの検討を行った。 さらに、石水博物館所蔵小津桂窓書簡の翻刻作業を行なう過程で、紀行文執筆に言及している箇所を収集・分析し、道中記から草稿、そして浄書へと、紀行文の生成過程を見定めた。 加えて、2021年2月発刊予定の『石水博物館所蔵小津桂窓書簡集』(和泉書院)の編集を行い、川喜田遠里との書物・書簡のやりとりを分析することをとおして、46点もの紀行文執筆を可能にした、伊勢商人の文化的背景を考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、資料収集や基礎作業を重点的に行うものと位置づけていたが、当初の予定どおり、順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
天理大学附属天理図書館を中心に、小津久足紀行文を所蔵する諸機関に赴いての書誌調査を予定していたが、新型コロナウィルスの影響により、見通しが立たないため、文献複写等にて資料を取り寄せ、その分析・考察と、成果発表を行う割合を増やすことで、対応していきたい。
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Causes of Carryover |
3月に予定していた出張が新型コロナウィルスの影響でとりやめになったため。
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