2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K00300
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Research Institution | Yamaguchi Prefectural University |
Principal Investigator |
菱岡 憲司 山口県立大学, 国際文化学部, 准教授 (10548720)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 小津久足 / 小津桂窓 / 紀行文 / 自筆稿本 / 伊勢文化圏 / 松坂商人 |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウィルス流行の影響により、出張による書誌調査を控えざるを得なかった。よって文献複写を活用して、天理大学付属天理図書館に残る小津久足紀行文関連資料の複写を取り寄せ、分析を行った。それにより、小津久足紀行文の草稿本の全体像をつかむことが可能となった。 また、2021年2月16日、責任編集をつとめた『石水博物館所蔵 小津桂窓書簡集』(菱岡憲司・髙倉一紀・浦野綾子編集、和泉書院)を2020年度科学研究費助成事業の研究成果公開促進費(20HP5030)によって発刊した。本書のなかには、知己・川喜田遠里に対して久足の紀行文『月波日記』の貸借を行っている記述が見いだせるほか、『月瀬日記』で旅をした土地に関わる書物を積極的に収集する様子がうかがえるなど、紀行文の生成につながる記述が多数見いだせる。これらにより、久足紀行文の成立や流通に関する新たな事実が判明したため、本研究課題にも大いに寄与することとなった。 また、『小津久足紀行文選集(仮)』の刊行についても、収録予定作品である『青葉日記』の翻刻許可を慶應義塾大学文学部図書室より得て、翻刻を開始した。また、やはり収録予定作品である『姨捨日記』は架蔵であるため、デジタル機器を用いて撮影・データ保存を行い、注釈を行いつつ翻刻を行った。さらに、『石水博物館所蔵 小津桂窓書簡集』を刊行した和泉書院とも、『小津久足紀行文選集(仮)』について、凡例や収録作品について、方向性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス流行により、天理大学付属天理図書館に赴いての書誌調査を行うことができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス流行の先行きが不透明なため、今後も紀行文の所蔵機関に赴いての書誌調査が行える確証がない。よって、文献複写によって入手した久足紀行文の分析や翻刻等に研究の軸足を移し、成果を上げていく。
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