2021 Fiscal Year Research-status Report
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19K00300
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Research Institution | Yamaguchi Prefectural University |
Principal Investigator |
菱岡 憲司 山口県立大学, 国際文化学部, 准教授 (10548720)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 小津久足 / 小津桂窓 / 紀行文 / 自筆稿本 / 雅俗 / 伊勢商人 |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウィルス流行により、所蔵機関に赴いての調査・研究ができないことがあらかじめ想定されたため、小津久足紀行文と関連する資料を文献複写を用いて取り寄せ、複写資料をもとに研究を進めた。また、小津家より、家に残る文献や手紙のデータをご提供いただき、それにより小津与右衛門家の変遷や商取引についての知見を得て、6代目の小津久足が紀行文を執筆する背景への考察を深めることができた。 具体的な成果としては、小津家に残る『花山道秀居士伝』と、天理大学附属天理図書館所蔵で、小津久足の養子克孝(よしたか)筆『江戸日記』の全文翻刻を行い、公開した(菱岡憲司「翻刻『花山道秀居士伝』―干鰯問屋・湯浅屋与右衛門と小津与右衛門家― 」、菱岡憲司・龍泉寺由佳「小津克孝『江戸日記』翻刻と解題―伊勢商人の江戸店滞在日記― 」ともに『山口県立大学学術情報』15)。また、2021年12月26日に行われたオンライン・シンポジウム「雅俗論のゆくえ」にも発表者として登壇し、本研究で得た成果にもとづき、発表「馬琴と小津桂窓(久足)の雅俗観 」と討論を行った。さらに、本研究で得た知見をもとに、中央公論新社より刊行予定の『伊勢商人の見た江戸時代(仮)』の執筆を行った。本書中には、小津久足紀行文も多数引用・参照している。 このように、出張による調査・研究という当初の計画とは異なるものになったが、出張せずにできる研究を追求した結果、相応の成果を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
出張ができないため、当初の計画とは異なるものになったが、取り寄せた資料の分析にもとづき、翻刻、論文・単行本執筆、シンポジウム発表など、多くの成果を残すことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス流行により、先行きは不透明ではあるが、出張が可能な場合は、書誌調査に赴く。出張ができない場合も、昨年度同様、取り寄せた資料を活用して、研究成果を様々なかたちで公にしていく。
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