2021 Fiscal Year Research-status Report
日張山青蓮寺所蔵史料を基盤とした中将姫説話の受容に関する研究
Project/Area Number |
19K00301
|
Research Institution | Bunkyo University |
Principal Investigator |
日沖 敦子 文教大学, 文学部, 准教授 (30448708)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 説話 / 縁起 / 寺社 / 中将姫 / 当麻曼荼羅 / 青蓮寺 / 袋中 / 近世 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、千年以上の時を経て存在する当麻曼荼羅(観経曼荼羅)とその由来を伝える中将姫の奇跡が、多くの人々に信じ続けられ、語り継がれてきたという信仰的事実に注目する。中でも本研究の核となるのは、中将姫が捨てられた日張山説話で知られる青蓮寺(奈良県宇陀市)の史料群(仏像、仏画、経典などを含む)である。 今年度は、昨年度までの2年にわたり修復した2種の写本の通読と翻刻作業を中心に進めてきた。解読が不十分な箇所もあり、全文を紹介するには至っていないが、今年度は、改めて資料と向き合い、全文の紹介へと進めていきたいと考えている。いずれの写本も、今後の近世の中将姫説話研究において興味深い史料と判断できることから、まずは全文を紹介し、今後の研究に役立てていきたい。 青蓮寺については、中将姫説話研究のうえで極めて重要な寺院でありながら、歴代住職を含め、これまで寺史の詳細が殆ど明らかにされてこなかった。そこで、青蓮寺において中将姫説話がどのように展開してきたかを検討すべく、これまでの調査で確認し得た諸史料をもとに、主に17ー18世紀の大まかな青蓮寺史の整理を進めている最中である。 今年度もコロナ禍により、思うように調査へ出かけられない状況が続いた。来年度は、状況をみながら、調査を再開し、報告の機会を持つことができるように進めていきたいと考えている。また、青蓮寺を中心とした寺院史料の調査に加え、周辺の関連する史跡、文献調査も進めていきたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの影響で、思うように調査が遂行できず、見送らざるを得なくなっている。修復した写本類の詳細を発表するなど、今できることから順次進めている状況である。
|
Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルスの影響で調査が思うように遂行できない状況が続いている。昨年度から修復した写本やそのほかの史料の精読を中心に進めてきた。境内の石造物等についても、中将姫説話の信仰圏を考える上で注目できるものがある。説話の内容的な研究に限らず、中将姫説話がどのような人々によって、求められ、語られていたか、どのような信仰を集めていたのかという点についても調べを進めてきた。今年度はこれらの成果を報告に結び付けていきたいと考えている。また状況を見ながら、調査も再開したいと考えている。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍により出張が叶わず、寺院史料の調査ができなかったため。出張費をはじめとする研究費が執行されず、ほぼ残額となった。今年度は調査を予定通り遂行していきたいと考えており、必要に応じて修復を依頼しながら研究計画を遂行していく予定である。
|
Research Products
(2 results)