2020 Fiscal Year Research-status Report
本山佛光寺所蔵板木のデジタルアーカイブ構築による板木研究手法の普及
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19K00308
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
金子 貴昭 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 准教授 (20411150)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 板木 / 版木 / 木版 / 近世出版 / デジタルアーカイブ / 佛光寺 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 本山佛光寺が所蔵する板木のデジタルアーカイブを進捗させた。当年度は、板木262枚に対して、デジタル画像5,148カットのデジタルアーカイブを構築した。またそれと並行して、未調査分の板木に対するナンバリングを実施し、今後のデジタルアーカイブ作業の基盤を構築した。(3月) 2. 1の出張撮影の機会が限られたことに伴い、その代替措置として申請者が所属する立命館大学アート・リサーチセンターが所蔵する板木のデジタルアーカイブ構築(クリーニング、デジタル撮影、採寸、重量測定)を進捗させ、板木542枚に対して、デジタル画像6,131カットのデジタルアーカイブを構築した。(7月~2月) 3. 1~2においてデジタル化した板木は、画像処理を進めた上で、板木ポータルデータベースに登録し、適宜メタデータの付与を行った。また同時に、過年度に登録した板木のデータ拡充を行った。(通年) 4. 本山佛光寺が所蔵する板木に対応する出版記録『蔵版簿』を入手した(1月)。当該資料は既知の出版記録よりも後年に編まれた帳簿であり、既知の記録よりも現存板木の状態に近い内容を記録していると考えられるため、デジタル化を行った上で、2021年度より読解と板木との照合を実施する。 5. 3を実施する過程で、現存稀少な月並俳諧の募句ちらし板木2点を見出し、両者の内容分析および成立年代とともに、この種の板木が稀少である理由、その環境下で両者が伝存した理由を考察し、京都俳文学研究会「俳文学研究」75号に論考を投稿し、掲載された。(3月)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度は板木デジタルアーカイブ作業の実施や、それらの板木に直結する出版記録の入手などの進展は見られたが、コロナ禍に伴う出張見合わせにより、板木デジタルアーカイブ作業の遅れが顕著である。2020年度の遅れを取り戻すため、予定していた板木デジタル化工程の日数を2倍程度に増やすとしていたが、それも不可能であった。さらに、予定していた海外出張がキャンセルになり、成果発表面でも影響が見られたため、当初予定より遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、研究期間が終了する2021年度までに研究課題が完了するよう、あらゆる機会を捉えて板木デジタル化工程の日数を確保することに努める。出張環境の整わない場合は、研究期間延長を視野に、研究課題の完遂を目指す。
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Causes of Carryover |
会計システムの都合により、3月の使用額2,540円が次年度使用額に含まれているが、これは次年度に繰り越して使用するものではなく、実質的には288,452円が次年度使用額である。この額が生じた理由は、「現在までの進捗状況」欄に述べた板木デジタルアーカイブ作業の遅れと、2020年度に予定していた海外出張(中国、ベルギー)が延期となったために発生したものである。2021年度も海外出張は困難と考えられることから、2021年度請求額と合わせて板木デジタルアーカイブ構築および関連資料の購入に充当し、進捗の遅れを挽回するとともに、考証・考察に効果的に活用する。
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Research Products
(3 results)