2021 Fiscal Year Research-status Report
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19K00315
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
横溝 博 東北大学, 文学研究科, 教授 (30303449)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高橋富兄 / 国学者 / 古典注釈 / 住吉物語 / 近代短歌 / 北辰会雑誌 / 旧制四高 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、過年度に調査収集した資料の研究および研究経過の報告が主目的であった。高橋富兄による文学関係の資料である『住吉物語問答』(玉川図書館内近世史料館蔵)の翻刻を行ったほか、インターネットに公開されている『北辰会雑誌』のバックナンバーを閲覧して、同誌に掲載された高橋富兄執筆の論文および書評を収集して、書誌的な調査および整理を行なった(しかし完全なものではない)。以上の調査と『住吉物語問答』の内容に関わる研究に基づき、「高橋富兄と『住吉物語問答』─旧制四高の国文学講義─」と題して研究発表した(於:中世王朝物語研究会、2021年8月22日、オンライン開催)。当該発表は高橋富兄の事績を紹介するとともに、『住吉物語』研究史上の『住吉物語問答』の意義について考察するものである。以上によって、当該年度の主たる研究はほぼ当初の計画通り実行できたと言えるが、もう一方の課題である金沢大学に赴いての「北辰会雑誌」等、旧制四高にかかわる資料調査はコロナの影響もあって実行できなかった。また、高橋富兄編による歌集の検討も未着手である。新たな書誌調査、新資料の発掘も含めて、次年度に持ち越さざるを得ないこととなった。なお、国内の学会においては、中古文学会秋季大会シンポジウムに登壇し、当研究課題による調査の一部を使用して報告を行なった。また、EAJS国際会議においても同様にパネル発表を行うとともに、情報収集に努めた。以上はいずれもオンライン開催であったため、旅費は発生していない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度の主目的である収集資料の研究・調査報告については、手元にデータがあるため、ほぼ達成できた。しかしながら、かねて予定していた金沢大学での調査、 資料収集については、今年度もコロナの影響から実現することができなかった。高橋富兄の文芸に関する自筆資料や、伝記研究に関わる情報収集が不可欠であり(高橋富兄の墓所の実地踏査も一つの課題である)、そのためには旧制四高の資料を所蔵する金沢大学での実地調査が欠かせない。これについては、さらに次年度に持ち越さざるを得ない。よって、当該年度については、調査報告という点では実現できたものの、実地踏査については実現できていないことから、「やや遅れている。」と自己評価するものである。
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Strategy for Future Research Activity |
『住吉物語問答』『枕草子箋』の翻刻および内容に関する研究を継続し、報告できるようにする。また、『北辰会雑誌』掲載の論考を精査し、高橋富兄の国学者としての研究や、旧制四高での教授活動などについても調査を進め、高橋富兄の学芸の内容を明らかにするために、引き続き資料の収集に取り組むものとする。とくに、コロナの影響で実現できていない旧制四高に関する資料調査を金沢大学に赴いて実現したい。同時に、近世から幕末・明治にかけての『住吉物語』受容についても継続的に調査を行うものとする。文芸の側面においては、金沢歌壇における高橋富兄の活動について、他の歌人達の交流などを探索し、情報を収集するなど、伝記研究を補完するために更なる情報収集に努めたい。『詠梅二百一首』をはじめ、金沢における高橋の歌壇活動についても、佐佐木信綱をはじめとする同時代の歌人たちとの交流も視野に入れながら進めていく。なお、学者としての高橋に関しては、古語の語彙・文法にかかわる研究である『語箋』(国立国会図書館蔵・自筆本、同デジタルライブラリーで公開中)の検討に着手したい。次年度も研究推進の方策については、コロナの感染状況の推移を見極めた上で予定を組むなど、調査の実現に向けて前向きに対応したい。
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Causes of Carryover |
国内外での新型コロナウィルス感染症の拡大により、予定していた国内出張、海外出張がすべて取り止めとなり、オンライン開催となったため、旅費が発生しなかった。また県境を跨いでの国内出張も実質困難であったことから、直接経費の内訳としては資料の購入による物品費の支出にとどまり、多くを次年度に持ち越さざるを得ないこととなった。次年度においては、 コロナの感染状況の推移を見極めながら、国内での調査、資料収集を実現し、研究成果を報告するために使用を計画するものである。
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Research Products
(3 results)