2021 Fiscal Year Research-status Report
近世後期における地方歌壇の和歌文学研究 ー山形県庄内地方を中心にー
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19K00316
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
藤田 洋治 山形大学, 地域教育文化学部, 教授 (60165397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古田 正幸 大正大学, 文学部, 准教授 (10644635)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 近世期の地方歌壇 / 庄内歌壇 / 和歌注釈 / 古今和歌集 / 後撰和歌集 / 拾遺和歌集 / 百人一首 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近世期の地方歌壇における和歌活動を明らかにすることが目的である。具体的には、山形県庄内地方の近世後期の庄内歌壇の和歌活動を検討するものである。特に、庄内地方の歌壇は、江戸末期に和歌が盛んに作られ、歌人も多く輩出したが、庄内歌壇の大きな特徴は、和歌を詠むことはもとより、和歌注釈を行っている点があげられる。既に、『百人一首』の注釈書を白井固が『百首略解』として著し、その翻刻・考察を行った。白井固の古今集の講義については、既に『古今和歌集遠鏡補正」として白井固の弟子・中村知至が江戸で出版しており、そちらの研究は既に古今集の研究史のほうでその位置づけがなされている。庄内歌壇には、さらに服部正樹による三代集(古今和歌集・後撰和歌集・拾遺和歌集)の注釈書『古今老のすさび』、『後撰老のすさび』、『拾遺老のすさび』が遺されている。昨年度までで、『後撰老のすさび』の翻刻がほぼ終了した。 『古今老のすさび』は、一部本文が欠落していること、また注釈書が非常に多く作成されていること、白井固の講義録が既に出版されていることなどから、割愛した。服部正樹の『後撰老のすさび』を中心に研究を開始したが、悪筆のために翻刻作業が大幅に遅れ、翻刻本文の検討をしているうちに、令和三年度が終了した。今年度は、翻刻本文を見直し、注釈本文を確定すること、そして、その注釈内容を先行研究との関連などを検討することとし、合わせて『拾遺老のすさび』の翻刻と、検討を目指すものとする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究当初に予定していた共同研究者の一人に癌が見つかり、急遽新たな研究者をお願いしたことと、新型コロナの関係で、集まっての研究会がほとんどできずに、メールやズームによる研究会の実施となったこと、また、関係論文の入手しにくい状況にあることによる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、『後撰老のすさび』の本文を正確に翻刻することが第一の目標である。服部正樹の文字がかなり個性的で、判読しにくいもので、取りあえず翻刻はしたものの、意味不明な個所が多く、その部分を研究会で検討しながら、本文を制定していく。 もう一方で、『拾遺老のすさび』の注釈本文の翻刻を進めていきたいと考えている。 『古今老のすさび』は、五冊のうち一冊が欠落している上に、古今集の注釈書は数多く、あえて翻刻して紹介しても、新たな発見は見出しがたいと思われるので、こちらの研究は、割愛して、当初の目的である庄内歌壇の和歌活動の注釈作業について、まとめるつもりである。
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Causes of Carryover |
昨年度は、新型コロナの流行のために、研究会がほとんど開催することができずに、研究が予定どおりに進めなかった。 今年度は、昨年度の遅れを取り戻すべく、研究会を数回開催して、『後撰老のすさび』の注釈本文を確定し、その注釈内容を検討するとともに、『拾遺老のすさび』の注釈本文を翻刻する予定である。
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Research Products
(3 results)