2021 Fiscal Year Research-status Report
戦争と革命の20世紀を生きた表現者たち―左派社会運動と文学運動の交錯
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19K00320
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
黒川 伊織 神戸大学, 国際文化学研究科, 協力研究員 (50611638)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 文化運動 / 冷戦 / 戦後革新勢力 / サークル運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も、引き続き新型コロナウィルスのため出張調査ができなかった。ただし、関西圏での調査は再開して、荒木傳氏(元社会主義理論政策センター)、杉本昭典氏(元阪神現代社)からの聞き取りを行い、杉本氏からは資料の提供を受けた。2022年1月に杉本氏が逝去されたため、最後に肉声を伺う機会となった。荒木氏、杉本氏からの聞き取りにより、大阪での構造改革派成立の経緯を、社会党・共産党双方の立場から整理できたとともに、その文化運動への影響力も明らかにすることができた。その成果として「戦後大阪の革新勢力 1960年代を中心に」(『年報日本現代史』26号、2021年)を発表した。 並行して、故和田喜太郎氏(市民活動家)のご遺族から提供していただいた資料の整理にも取り組み、和田氏の残した資料を手がかりとして、1950年代におけるサークル運動と新興宗教の組織的類似性についてまとめた報告を行った(2022年2月)。この報告をもとにした英語論文は、アメリカで刊行予定の論文集"Japan's Social Activism:Culture Movement and Grassroots Democracy"に掲載を予定している。 また、拙著『戦争・革命の東アジアと日本のコミュニスト』をまとめる過程で生じた、1970年代の中野重治の思想的営為について、天皇制/プロレタリア国際主義との関係から整理した論文「中野重治「雨の降る品川駅」の同時代史」(坪井秀人編『戦後日本の傷跡』所収、臨川書店、2022年)を発表した
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は聞き取り調査の再開、資料の分析が進み、進捗状況の遅れを取り戻すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、受け入れた資料の修復を重点的に実施し、新型コロナウィルスのため雇用をためらっていたアルバイトも雇用して、資料の目録化を完了したい。
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Causes of Carryover |
東京方面での調査が実施できなかったため旅費が余ったうえ、アルバイトの雇用にも慎重となったため。感染状況がおさまってきた今年度に、東京方面での調査を行い、アルバイトを雇用する。
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Research Products
(2 results)