2019 Fiscal Year Research-status Report
雑誌『小天地』(金尾文淵堂発行)の基礎的研究―明治期大阪文芸メディアの戦略分析―
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19K00344
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
西山 康一 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (40448212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
庄司 達也 横浜市立大学, 国際教養学部(教養学系), 教授 (60275998)
竹本 寛秋 鹿児島県立短期大学, その他部局等【文学科】, 准教授 (20552144)
掛野 剛史 埼玉学園大学, 人間学部, 准教授 (00453465)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 小天地 / 薄田泣菫 / メディア研究 / 日本近代文学 / 関西 / 地方 / 文壇 / 雑誌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度(2019年度)は、本研究の活動1年目ということで、本研究ための基盤づくりを中心に活動してきた。 本研究メンバー全体にかかわる具体的な活動としては、9月5~6日・10月13日・3月17日の3回、メンバー全体が集まって、本研究の研究対象である雑誌『小天地』の編集者薄田泣菫の関連地(大阪・西宮・倉敷・京都)のフィールドワーク(現地調査)を行ない、本研究に関わる基礎的情報を収集した。雑誌誌面に掲載された記事や写真なども参考にしながら、『小天地』刊行前後の金尾文淵堂および薄田泣菫の動向を跡付けることができ、具体的な地理関係を意識しながら『小天地』という雑誌刊行当時の状況を理解することに役立った。また、それらと並行して、本研究に関わる各自の調査研究の報告、今後の研究計画の検討を行なった。 そして、そうした活動における具体的な成果としては、雑誌『小天地』の保存状態も含めた所蔵先の確認し、さらにそれをリスト化してまとめた。さらに、それに基づいて『小天地』全巻の画像データを作成し、次年度からの雑誌『小天地』の分析――その編集方針やそこに掲載されている散文・韻文・挿絵等の分析、関西に成立した文芸メディアとしての位置づけ、後代への影響など検討に備えた(もちろん、これ以外にも本研究メンバー各自が独自に本研究に関わる調査研究を行ない、論文や講演会等で発表したりしているのは、以下の「研究発表」に記している通りである)。 また、次年度への準備として、最終的な研究成果の出版を見越して、その計画を出版社も交えて検討してきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度(2019年度)については、本研究の活動1年目ということで、本研究を実現させるための基盤整備期間として当初から位置付けられていた。 すなわち、本研究の研究対象である雑誌『小天地』や、その編集者薄田泣菫に関わる基礎的情報を収集すること、また『小天地』の所蔵先をその保存状態も含めて確認してリストを作成し、それに基づいて研究に利用可能な『小天地』全巻の画像データを作成することであり、それらに関しては上記「研究実績の概要」でも記したようにおおむね実現されており、順調に進んでいると判断する。 また、研究成果の公開という面では、本年度は研究の基盤整備期間であることからそれほど多く発信出来てはいないかもしれないが、それでも本研究メンバー各自が論文や講演会等でその研究成果を発表している。 以上のことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度(2019年度)の活動により築いた研究基盤(雑誌『小天地』やその編集者薄田泣菫に関わる基礎的情報の収集、雑誌『小天地』の所蔵先リスト、『小天地』全巻の画像データなど)を利用して、より研究を深めていきたい。 具体的には、まずは『小天地』の完全な書誌情報を反映した総目次データベースの作成、さらにメディアとしての雑誌『小天地』の分析――その編集方針やそこに掲載されている散文・韻文・挿絵等の分析、関西に成立した文芸メディアとしての位置づけ、後代への影響など検討していきたく思っている。 また、これらの研究をまとめて何らかの形で出版したく考えている。
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Causes of Carryover |
本年度の終わりに、新型コロナウィルスによる問題が起き、思うように研究を進めることができず、また3月に2日間で予定していた本研究メンバーの会合(研究打合せ・フィールドワーク)も1日に短縮したり、それでも参加できない者も出たりして、予定していた予算執行ができなかったため。 上記の会合でできなかったことは、次年度の会合を増やすなどして補う予定である。本年度使い切れなかった予算はそこで使う予定である。
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Remarks |
赤磐市教育委員会主催の公開講座「現代詩講座「詩のピクニック」」にて講演。 (発表者名:西山康一、発表標題:「薄田泣菫 その文学と人生」、2019年7月6日、招待講演)
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Research Products
(2 results)