2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K00351
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
一戸 渉 慶應義塾大学, 斯道文庫(三田), 准教授 (20597736)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 和学 / 国学 / 好古 / 橋本経亮 / 松平定信 / 学芸史 / 近世文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度には本研究と関連した論文2篇、総説1篇を公表、学会及び研究会での口頭発表3回を実施した。 まず総説であるが、「みやびといましめー定信の文雅を読み解くために」(『なごみ』474号)ではキーパーソンのひとりである松平定信の文雅に対する意識について総説的に論じた。論文については、「復古というモード―和学から国学へ―」(ロバート キャンベル監修『近世文学史研究三 十九世紀の文学』所収)では18世紀末から明治期に至る和学の史的展開が決して単線的なものではなく、複数の潮流が存在したことを述べたもので、また「稲荷社祀官大西親盛の和歌 続―京都学・歴彩館蔵『〔歌日記〕』翻印と解題 (一)」(『斯道文庫論集』54輯)では、荷田春満の門弟で賀茂真淵の友人でもある稲荷社祀官の大西親盛の歌稿資料の紹介を行った(こちらは分量が多いことから、続稿を予定している)。 口頭発表について、2019年4月21日に開催された第34回鈴屋学会大会において「寛政九年十一月二十七日付蒔田必器宛橋本経亮書状について」と題する発表を行い、近世後期の和学者橋本経亮と伊勢在住の知識人との交流、及び従来不分明であった寛政9年時点での経亮の非蔵人としての宮中出仕の実態解明を試みた。また「吉田家三代と学芸活動」及び「刊本『聆涛閣帖』小考」という2つの口頭発表は国立歴史民俗博物館の共同研究「『聆涛閣集古帖』の総合資料学研究」の一環として、摂津呉田の豪商にして好古家であった吉田道可以降の吉田家三代にわたる蒐集と学芸活動の実態解明を試み、また同家が刊行した『聆涛閣帖』という古物の摸刻資料の版種についての報告を行った。 本年度中に調査を実施した主な機関は以下の通りである。東丸神社、東洋文庫、筑波大学附属図書館、三郷町立図書館、九州大学附属図書館。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
所属機関及び所属学会における事務担当の役職に就任したために本研究に費やすことの可能な時間的余裕が当初の見込み以下となったこと、また新型コロナウィルスの感染拡大のために年度末の2月から3月にかけて出張調査や研究発表の機会が失われたことが進捗の遅れに繋がった。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルスの感染拡大のため、現時点で今後の状況を見通すことは容易ではないが、本課題に則した研究を進めるべく、各所蔵機関の収蔵資料の調査と精読を継続的に行う予定である。ただし調査旅費を使用した現地での研究活動の実施が困難である場合は、既に入手済の関連資料の精読、ならびにこれまでに蓄積している関連データの精査を実施することで対応する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は当初購入を予定していた書籍が版元の都合で発売が遅れたためである。大きな額ではないが、当該資料を次年度に速やかに入手して対応する予定である。
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Research Products
(6 results)