2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K00351
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
一戸 渉 慶應義塾大学, 斯道文庫(三田), 准教授 (20597736)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 和学 / 国学 / 橋本経亮 / 藤貞幹 / 好古 / 学芸史 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度には本研究課題に関連する著書一点、論文一篇、総説論文一篇、研究発表一回を実施した。 著書『橋本経亮旧蔵 香果遺珍目録』(慶應義塾大学三田メディアセンター, 2021年3月)では、慶應義塾図書館が所蔵する橋本経亮の旧蔵書約1200点についての書誌情報を著録し、また主要な資料について解題を行ったものである。 論文「稲荷社祀官大西親盛の和歌 続々ー京都学・歴彩館蔵『〔歌日記〕』翻印と解題 (2)」(『斯道文庫論集』第55輯、2021年02月)は、荷田春満の門弟で賀茂真淵の知友でもある稲荷社祀官の大西親盛の歌稿について、前年に公表した論文の続篇として、後半部を翻字し、また解題を付したものである。 総説論文「「炎上」する江戸の言説空間――宣長・秋成と藤貞幹の「偽書」」(『ユリイカ 』第52巻第15号、2020年12月、青土社刊 )は、故実家の藤貞幹の著作『衝口発』の流布の過程、また同書によって惹起された一連の論争の経緯を再検証しつつ、貞幹の存在を同時代的な文脈で捉え直そうとしたもの。 2020年8月8日にオンラインで行われた基盤研究(B)「近世中後期上方文壇における人的交流と文芸生成の〈場〉」科研研究会での口頭発表「摂津呉田吉田家三代の文事と出版 」は、好古家にして豪商でもあった吉田家三代の文芸上の事蹟を跡づけると共に、好古図譜『聆涛閣帖』の出版経緯について、現存資料から検討を加えたものである。 本年度内に本研究課題に関係して出張調査を実施したのは新村出記念財団、重山文庫(京都府京都市)、大阪府立中之島図書館(大阪府大阪市)、中津市歴史博物館(大分県中津市)である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
所属機関における事務担当の役職に就任したために本研究に費やすことの可能な時間が当初の見込み以下となったこと、また新型コロナウィルスの感染拡大のために大学等の収蔵機関が外部者の閲覧を制限しているため出張調査の機会が失われたことにより、進捗に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルスの感染拡大の影響で、大学図書館を中心にいまだ外部者の閲覧調査を制限している機関が少なくないため、調査が実施可能な機関に重点を置き、また既に収集している関係資料の精読、分析を行うことで対応する。
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Causes of Carryover |
本年度は新型コロナウィルスの感染拡大の影響で、大学図書館を中心に外部者の閲覧調査を制限する機関が複数あり、そのために当初予定していた調査を実施ができなかったことから次年度使用額が発生した。翌年度に、可能な範囲で調査を実施する予定であるが、どうしても調査の実施が困難な場合は、関連資料の購入や研究遂行上必要な物品の購入などに充当する。
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Remarks |
2020年8月8日にオンラインで開催された基盤研究(B)「近世中後期上方文壇における人的交流と文芸生成の〈場〉」の科研公開研究会において、「摂津呉田吉田家三代の文事と出版」と題した研究発表を一戸の単独で行った。
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Research Products
(3 results)