2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K00351
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
一戸 渉 慶應義塾大学, 斯道文庫(三田), 教授 (20597736)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 松平定信 / 国学 / 橋本経亮 / 藤貞幹 / 好古 / 佚存書 / 契沖 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度中には本研究課題と関連する業績として研究論文2篇、総説論文1篇を公表し、また展示図録1点の解説・コラム執筆に関与し、関連する講演会1回を実施した。 論文「圓珠庵寄託契沖著述稿本類等目録」及び「契沖自筆『厚顔抄』『古今余材抄』新出断簡について―附『〔住友周富十七回忌追悼歌集〕』翻印―」では、重要文化財「契沖著述稿本類」を含む圓珠庵所蔵資料を目録化し、また新出の契沖自筆断簡を紹介し、併せて豪商住友家の四代友芳の三男である入江友俊が挙行した歌会記録を紹介した。「『論語疏』の紙片と香果遺珍」は、慶應義塾図書館の所蔵する橋本経亮編『遠年紙譜』に貼られた紙片が、伝世最古とされる同館蔵『論語疏』巻六零巻の一部と判断されることについて、これまでの調査成果に基づきつつ解説したものである。さらに国立歴史民俗博物館の展示図録『いにしえが、好きっ!―近世好古図録の文化誌―』に「好古摺物と吉田家」と題したコラムを掲載し、複数の資料解説を執筆した。コラムでは一枚摺の史的展開の中での好古摺物の位置付けを検討しつつ、上方における好古摺物の出版状況について検討を行った。なお、当該研究課題に関わり中津市歴史博物館(大分県中津市)及び大谷大学博物館(京都府京都市)等への出張調査を実施している。 研究期間全体(2019-2022)を通じての主要な成果としては、『橋本経亮旧蔵 香果遺珍目録』及び『蒐められた古―江戸の日本学―』等を刊行し、橋本経亮の旧蔵資料の調査を通じて近世学芸史の研究を一歩進めたこと、分担執筆『歴史で読む国学』で18世紀後半の国学史上の展開を近世社会の動向と絡めて通史的に記述したこと、国立歴史民俗博物館での上記した企画展示に関与し、灘の豪商であった吉田家を対象に近世期の好古家の実態把握を行ったこと、重要文化財を含む圓珠庵所蔵資料を検討し、新出の契沖自筆断簡を見出したことが挙げられる。
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Research Products
(5 results)