2019 Fiscal Year Research-status Report
雑誌「詩学」「現代詩」「ユリイカ」を中心とする昭和30年代詩の研究
Project/Area Number |
19K00357
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
加藤 邦彦 佛教大学, 文学部, 教授 (30350383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 真素美 愛知県立大学, 日本文化学部, 教授 (50249281)
疋田 雅昭 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (70469477)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 日本近代詩 / 日本現代詩 / 戦後詩 / 昭和30年代 / 詩学 / ユリイカ / 現代詩 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「詩壇ジャーナリズムの第一期」を形成した詩雑誌「詩学」「現代詩」「ユリイカ」に注目することで、戦後詩の第二世代の特質を検討し、その形成過程にそれらの雑誌がどう関わっているかを明らかにすることを目的としている。 1年目にあたる【令和元年度】は、各誌を研究代表者・研究分担者で分担し、主に昭和30年代前半の調査・検討を行なった。2019年10月6日には第1回目の公開研究会を京都(於・キャンパスプラザ京都)で開催し、宮崎真素美「はじまりの『詩学』」、加藤邦彦「新日本文学会と「現代詩」――「現代詩」研究の今後のために――」、疋田雅昭「戦後詩の多様性と排他性――第一期『ユリイカ』を視座として」というタイトルでそれぞれの考察結果を報告するとともに、約30名の参加者と昭和30年代前半期の詩壇の動向についての検討・討議を行なった。そのなかから浮かび上がってきたことは、「文学者の戦争責任」を筆頭とする数々の論争が新旧詩人の交代の役割を果たしたこと、社会状況にコミットしていく詩人たちの姿、詩と文学以外の他芸術との融合、などである。各誌で詩人たちが論争を繰り広げるなかで、戦前から活動している詩人たちが詩の世界から追いやられ、新しい世代が台頭する。そのなかから戦後詩の第二世代が詩の世界に登場する有様がみえてきた。また、各誌が展開した特集に注目することで、昭和30年代の詩がテーマやモチーフを拡大させていく様相が次第に明らかになってきた。 その成果は、研究代表者・研究分担者が、今後それぞれ論文として発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、「詩壇ジャーナリズムの第一期」を形成した詩雑誌「詩学」「現代詩」「ユリイカ」に注目することで、戦後詩の第二世代の特質を検討し、その形成過程にそれらの雑誌がどう関わっているかを明らかにすることを目的としている。【令和元年度】は、3年で計画された研究の1年目にあたる。 【令和元年度】は、主に昭和30年代前半の調査・検討を行ない、研究代表者・研究分担者で分担して各誌の執筆者一覧・特集一覧を年代ごとに作成するとともに、詩作品、時評、詩論、編集後記を精査し、昭和30年代前半に活動した詩人、特に戦後詩の第二世代がどのような特質を持っていたか、そのころの現代詩がどのように展開していったか、ということの検討を予定していた。 研究代表者・研究分担者それぞれの調査・検討については、一部を除き、おおむね予定通り進めることができたが、それぞれの考察結果を重ね合わせた検討が十分にできなかった。というのも、3月に予定していた第2回目の公開研究会が新型コロナウイルス拡大によって開催できなかったためである。 2019年10月6日には第1回目の公開研究会を京都(於・キャンパスプラザ京都)で開催し、宮崎真素美「はじまりの『詩学』」、加藤邦彦「新日本文学会と「現代詩」――「現代詩」研究の今後のために――」、疋田雅昭「戦後詩の多様性と排他性――第一期『ユリイカ』を視座として」というタイトルでそれぞれの考察結果を報告するとともに、約30名の参加者と昭和30年代前半期の詩壇の動向についての検討・討議を行なった。 その成果は、研究代表者・研究分担者が、今後それぞれ論文にまとめ、学術誌等に発表予定である(すでに論文を書き終えており、発表媒体の刊行待ちのものがいくつかある)。十分に深められなかった点については、【令和2年度】に開催予定の公開研究会のなかで検討したい。
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Strategy for Future Research Activity |
【令和2年度】は、詩雑誌「詩学」「現代詩」「ユリイカ」について、主に昭和30年代後半の調査・検討を行なう。前年度と同様の調査を行ないながら、昭和30年代前半にみられた戦後詩の第二世代の特質がどう変容するか、そこに上記3誌がどのように関わっているかを明らかにする。 公開研究会を2回開催し、研究代表者・研究分担者それぞれのここまでの考察結果を公表するとともに、さらに深めるための検討・討議を行なう(ただし、新型コロナウイルスの影響で開催できるかどうかはっきりしない。双方向ビデオ通信を利用したオンライン上での研究会開催も視野に入れている)。 また、前年度までの成果を、研究代表者・研究分担者それぞれ論文にまとめ、学術誌等に発表する。
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Causes of Carryover |
3月に愛知県長久手市で開催予定だった第2回公開研究会が新型コロナウイルス拡大によって開催できなくなり、研究分担者がその旅費および宿泊費として使用予定だった費用が残金となった。また、研究分担者が3月に予定していた鹿児島県での調査も、上記と同じ理由で残金となった。 残金は、今後の研究会や調査の際に、旅費および宿泊費として使用予定である。
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Research Products
(4 results)