2022 Fiscal Year Research-status Report
Representations of the Irish Famine in Nineteenth-Century Fiction and Non-Fiction
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19K00454
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
中村 哲子 駒澤大学, 総合教育研究部, 教授 (20237415)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アイルランド / 飢饉 / 19世紀 / 小説 / 旅行記 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度には、以下のような側面について、当該テキストを検討し、その方向性の理解を深めた。本研究課題の小説の語りをめぐって、事実を描写することを主眼とした旅行記や報告書における記述との関係性を問いながら、小説が描こうとしたフィクションとリアリティーの関係性を明らかにする方向性にある。こうした視点は、19世紀のアイルランド小説の特性(アイルランド小説のリアリズム表現をめぐる問題系)を探ることにつながることにもなる。 1.2021年度実施の研究からの継続として、飢饉に関わる医療関連報告書(1810年代末から20年代初頭、1840年代後半から1850年代初頭)において、いかなる記述が示されているかについて、検討した。 2.G. F. ボイル、H. マーティノー、T. カーライルの大飢饉関連の現場を語る描写を中心に検討した。 3.大飢饉を語る旅行記等の記述が公表される時期に刊行された出版物について把握した。この時期、大飢饉からの回復を印象づける刊行物も出版されており、飢饉そのものを語る描写だけでなく、飢饉後の社会をにらんだ別種の情報発信も増えている。ここからは、飢饉を語る複数の語りが同時に提供されていたことが感得される。ポスト大飢饉の旅行ガイドについても確認した。 以上、対象となり得るテキストの幅が広いため、研究取りまとめを意識しつつ、論考として先鋭化できるものを取捨選択するといった作業に時間をかけながら、抽出できる事象をとりまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2021年度において認識された飢饉の表現モードへの視座に基づいて、最新のアイルランド文学文化研究の方向性を踏まえ、研究手法について方向を調整することとなった。より広範囲の研究動向や、テキストにアクセスしながら、研究とりまとめへ向けてのプラットフォーム強化ともいえる活動に時間を割くこととなり、論考の先鋭化には今後一定の時間が必要であると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度において、全体像を眺めながら研究取りまとめに向けての方向性を明確化する過程で、小説のいかなる側面に注目してナラティヴの表現モードを検討するかを絞り込んできた。旅行記および事実に基づいた報告書での記述との関係性をより効率よく、効果的に論じていく方向である。
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Causes of Carryover |
2022年度においても引き続き国外での研究展開ができない環境にあり、結果的に十分に使用額を活用しての研究が進展しなかった。基本的には、テキストを基盤とした分析・考察に留まり、研究の方向性を吟味する期間ともなった。今年度の研究活動を基盤に、引き続き2023年度に研究を展開し、取りまとめに向けて議論を深める。
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