2019 Fiscal Year Research-status Report
高大連携による古典文学の探究型授業の教材作成と教育モデル構築の実践的研究
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19K00530
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
吉野 朋美 中央大学, 文学部, 教授 (60401163)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 ふみ子 法政大学, 文学部, 教授 (00386335)
青木 幸子 昭和女子大学, 総合教育センター, 准教授 (10572191)
中嶋 真也 駒澤大学, 文学部, 教授 (30384019)
平野 多恵 成蹊大学, 文学部, 教授 (60412996)
佐藤 至子 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (70329639)
兼岡 理恵 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 准教授 (70453735)
中野 貴文 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (70582972)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高校~社会人参加のワークショップ / 日本古典文学 / 探究型教材作成 / 多様な研究手法での活動を通じた深い学び |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高校・大学・大学院・教員・社会人参加のワークショップ(WS)実践を通して、日本古典文学の探究型教材を作成・公開し、広く社会に古典教育方法のモデルを提示することを目的としている。初年度は教材作成に資するべく、研究会(グループ)として積み上げてきた方法を継承発展させたWSを実施することに注力した。春から分担者による研究会、研究協力者である高校教員を交えてWS以前に4回研究会を重ね、テーマと方法を模索した。 今年度は、古典文学のエッセンスを深く学びつつ、現在のわたしたちにもつながるテーマということで、当年最大の関心事であった新天皇の即位にまつわる、三種の神器の中の宝剣をテーマに据えて内容を組み立てた。8月に高校生6名、大学生17名、大学院生4名、高校教諭4名、大学教員3名、社会人4名の総計38名の参加者で実施、この参加者の属性の多様さは本WSの特徴のひとつである。 本研究のWSは半日以上をかけておこなうプログラムで、テーマに沿って一貫性を持たせながら多様な研究手法を参加者が体験し、学びを深めてさらに発展的に思考する態度を養うことを目指すものである。今回は、奈良時代から南北朝時代にわたる関連古典作品をジグソー法で読解、文学研究の基礎となる年表作りも体験しながら〝あらたな剣伝承〟創作とプレゼンテーション活動を主におこなった。WS後のアンケートからは、一連の活動を協同でおこない多様な考えを共有することでよりよい案ができること、日常の些細な疑問が深い学びにつながること、インプットをふまえたアウトプットの重要性など、多くの気づきを参加者が得たことが読み取れた。 WS後には研究代表者、分担研究者および連携研究者等をまじえた意見交換会を実施、このWSの成果をどう実際の教育現場に生かせるか、幅広い視点からのフィードバックを得た。また、その後も研究会を重ね、来年度の方策を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
周到に練り上げたWSが計画通りに実行できたこと、またそのWSに関する意見交換会の場、あるいはフィードバックで、WSの成功点、反省点を多方面から詳細に指摘していただけたことで、次回のWSやそれをもとにした教材作成に大きな示唆を得たことから、おおむね順調と考えている。また、この研究の前提となった研究会で以前おこなったWSを、よりブラッシュアップさせて一般向けのWSとしてアレンジ、「未来のマナビフェス2019―2030年の学びをデザインする」(2019年8月)という教育イベントで実践報告する機会を得、広く参加者から手応えを得たことも理由に挙げておきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度も今年度同様のWSを企画しているが、新型コロナウィルスの感染拡大を受け、大幅にスタイルを変更せざるを得ないと考えている。また、WSで実践してきたテーマ・手法を、研究協力者の高等学校で出張授業として実践したいとも考えていたが、それも難しそうである。その代わり、WSで実施するプログラムをティップスにして配信するなど、今後のデジタル教材作成に資するような方策を考えたいと思っている。
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Causes of Carryover |
ワークショップや研究会に参加予定であった研究協力者の数名が、学校行事などの都合で参加不可能となり、謝礼が少なくなったこと、研究協力者に旅費を支払い損ねたこと、また代表者および分担研究者の購入した物品が想定より安かったことなどから、次年度使用額が生じる結果となった。 次年度はコロナウィルス感染拡大の影響次第でワークショップ開催の可否が決まるため、それ次第で支出金額が大きく変わると思われる。開催可能であればそこにかかわる費用の支出や、中等高等学校の指導要領改訂に関連しての書籍も増えると思われるのでその購入、さらにデジタル教材作成の準備のためにあてたい。
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Research Products
(2 results)