2022 Fiscal Year Research-status Report
高大連携による古典文学の探究型授業の教材作成と教育モデル構築の実践的研究
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19K00530
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
吉野 朋美 中央大学, 文学部, 教授 (60401163)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 ふみ子 法政大学, 文学部, 教授 (00386335)
青木 幸子 昭和女子大学, 総合教育センター, 准教授 (10572191)
中嶋 真也 駒澤大学, 文学部, 教授 (30384019)
平野 多恵 成蹊大学, 文学部, 教授 (60412996)
佐藤 至子 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (70329639)
兼岡 理恵 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 教授 (70453735)
中野 貴文 学習院大学, 文学部, 教授 (70582972)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高校~社会人参加のワークショップ / 日本古典文学 / 探究型教材、授業方法の作成 / テーマと緊密に連携したアイスブレイク / アクティブラーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は、高・大・院・社会人参加のワークショップ(以下WS)を通じて、古典文学の探究型授業教材作成・教育モデル構築をめざすものである。コロナ禍による対面での活動自粛も緩和されたことから、3年ぶりに対面での集合型WSを再開した。ただし夏期休暇中は未だ感染収束が見通せなかったため3月の実施とした。テーマは「すれ違い劇場」とした。すれ違いが双方の生きる世界や視点の違いによる言葉の捉え方の違いから生じることを上代から近世までの古典文学作品から学び、寸劇を作ることで、現代でも身近に起きる「すれ違い」について考える契機とすることを意図している。 WS実施までは例年同様研究会を重ね、教材選定、講義内容とワークの内容・方法の詳細な吟味・設定をおこなった。開催は2023年3月28日、参加は高校生4名、大学生14名、大学院生5名、教員3名、出版社勤務1名の計27名。参加者はテーマと緊密に連携したアイスブレイクによって古典に向かうハードルを下げつつ、勘違いや誤読が新しいものを生む体験をした後、すれ違いを描く『徒然草』、落語・小咄、『古事記』の文章について専門知識を交えたミニレクチャーを聞き、個人の属性(所属・学年等)を考慮したグループに分かれ、個人ワークを経てグループで寸劇を作り、発表した。 ふり返りでは、すれ違いが人間性を浮かび上がらせたり新たなドラマを生んだりすること、文学作品を通じて得られる視点や異なる考えが現代の日常生活にも生かせることに気づいたという声が多く寄せられた。古典の学びを現代に生かしていくというのは本課題の目的のひとつでもあり、意を得た思いである。 また、2023年3月17日には、過去に実施したオンラインWSをブラッシュアップし、日本文学を研究する大学院留学生(コロンビア大学)と大学院生(東京大学・早稲田大学・中央大学)を対象に対面形式で実施し、その有用性・汎用性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本課題は、本来、高校生から社会人までが一堂に会し、古典文学をアクティブラーニングで学ぶことを研究の中心に据えている。今年度はWSの対面開催が可能となったが、過去二年間、オンラインでのWS開催を余儀なくされたことによる遅れはなかなか解消できない。もちろん、過去二年でオンラインツールを駆使し、新しいかたちのWSを確立できたことは収穫ではあったが、対面による実践や効果の検証の積み重ねをもう少し測らなければならないと考えている。そのため、今年度の進捗状況も「やや送れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題もまとめの時期に来ているため、次年度はまず総括として7月に探究型授業と高大連携に関するシンポジウムを開催する予定である。現場の高校教員、ICT教育に携わる韓国の大学教員、和本を教材にする取り組みをおこなってきた科研の代表者にも登壇を依頼し、広く探究型の国語学習に興味を持つ方々と交流しながら、課題の充実をはかっていければと考えている。 また、本課題とシンポジウムの報告書を作成して事業のまとめとしつつ、これまでのWSを高校や大学の授業時に使えるコンテンツとするためのブラッシュアップに力を入れる予定である。コンテンツについては、最終的にオープンデータでの提供と書籍での提供を考えているが、次年度中にすべてはできないため、本課題遂行の一年延長を考えている。
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Causes of Carryover |
今年度のWSはコロナ禍に鑑み、規模を縮小し、参加人数・開催時間を制限しておこなったため、WS開催に伴う諸費・旅費・謝礼などが不要であったことから、次年度使用額が生じている。次年度はシンポジウムに伴う諸費・旅費・謝礼をはじめ、報告書(デジタル)の作成に伴う費用がかなり発生すると見込まれるため、それに充てる予定である。
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Research Products
(6 results)