2021 Fiscal Year Research-status Report
第一言語および第二言語におけるメタファーの創造と解釈可能性に関する実証的研究
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19K00566
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Research Institution | Nagoya Keizai University |
Principal Investigator |
中村 裕昭 名古屋経済大学, 人間生活科学部管理栄養学科, 特任教授 (00559205)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
Birdsell Brian 弘前大学, 教育推進機構, 准教授 (40646296)
立田 夏子 弘前大学, 教育推進機構, 准教授 (50364831)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | メタファー / 認知言語学 / 創造性 / 実験的アプローチ |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、2021年3月にThe 11th Asian Conference on Psychology and the Behavioral Sciencesで発表した"Ballpoint pens and Hammocks: How visual metaphors angage and distract in advertisements"を発展させて、追加実験を行い、また論文のドラフトをまとめて投稿した(査読中)。一方、追加実験がコロナ感染症のまん延防止措置のためにほとんど行うことができず、わずかに一度、前年度の視覚的ポスターのメタファー効果の実験に、理解容易度や効果度、文化的背景の関与性を調べる質問項目を追加して行い、研究グループ内で検討を重ねた。追加実験の考察を含めた論文や口頭発表は年度末と2022年度初頭にようやくまとめて投稿を開始した。 コロナ感染症のまん延により、被験者を集めた実験を1年間ほとんど行うことができず、文献によりコーパス的アプローチやフレームネット的アプローチを研究してきたが、新規データを収集できない以上、本テーマの実験的アプローチによるメタファー効果の検証は大きな成果をあげることはできなかった。 一方、研究者間の議論や新規実験の準備は進んでおり、刺激文の反応に対する反応時間から潜在的なメタファーの解釈・発出を研究する用意ができている。年度末まだに次の年度の実験準備はほぼ整えており、新年度にはコロナ感染症の状況によるが、早期に実験を開始し、統計的分析を施したのち、多くの学会で口頭発表や論文執筆を行っていくつもりである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
メタファーの認知科学的諸問題を純理論ではなく、数多くの実験と統計的処理により経験的に明らかにしようとする本研究の試みは、コロナ感染症まん延防止のために、大学施設の閉鎖や集会の回避のために、実験そのものを行うことができなかったため、ほとんどの目的を達成することができなかった。これはそもそも研究の前提としている実験とデータの収集が不可能となったことによりやむを得ない、不可抗力であると思われる。コロナ感染症まん延の前の年度に収集したデータの再分析を行って論文を投稿したりはしたが、研究計画としては1年間とん挫したといわざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
新年度コロナ感染症が収束すれば、計画していた実験を再開して、当初の研究目標を完遂したい。視覚的メタファーの研究成果は、オンライン学会での複数回の口頭発表は何とか行えたので、今後は論文にまとめて投稿を始めたところである。また新しい研究法として、メタファーの認知的ベースをもとに、文を聞いた時の被験者の反応時間と基本的認知構造の調和性を実験で検証していくことにしている。またこのほかにもメタファーと非メタファーのフレーム、イメージ・スキーマの保存性をコーパスを使って、日本語と英語で検証することも計画している。実験もコーパスも経験的事実を積み重ねて認知言語学の従来の知見の妥当性を検証するという方向性を共有しており、本年度はこの二つのアプローチから、人間がメタファーを使う動機や魅力、創造性を考察する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ感染症まん延のために、実験が十分にできず、また口頭発表などもオンラインによる1回を除き、ほとんどできなかったため。なによりデータが十分に収集できなかったことで、研究が著しく遅れたことによる。
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