2019 Fiscal Year Research-status Report
A Typological Study on the Complexity of Japanese Dialects
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19K00627
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| Research Institution | Osaka University |
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Principal Investigator |
渋谷 勝己 大阪大学, 文学研究科, 教授 (90206152)
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2019-04-01 – 2022-03-31
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| Keywords | 方言類型論 / 複雑性 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、（1）おもに国外の文献を対象として、言語の複雑性を（社会）類型論的に分析した過去の研究を展望するとともに、（2）標準語と山形市方言の個々の言語的特徴を比較することによって、（3）複雑度をはかる指標群を設定することを試みた。その他、本研究の意義、視点等を一般向けに紹介する論文を市販誌に掲載した。（1）～（3）について、具体的には以下のとおりである。
（1）過去の研究展望。これまでおもに国外で行われてきた、言語の複雑性を（社会）類型論的に分析しようとした研究の、分析対象言語、分析対象言語項目、使用データ、分析の方法と視点、成果、問題点、今後の課題などを整理した。また、それを踏まえて、当該分野の進捗状況と課題をまとめる展望論文を執筆する作業を進め、最初のステップとして口頭発表用の原稿を作成した。
（2）方言間対照表の作成。最初に、山形市方言について、これまで本研究課題実施者が分析してきた山形市方言の文法事象や、先行研究が取り上げた文法項目、音韻項目等を拾い出し、当該方言に観察される特徴的な言語事象の一覧を作成した。次いで、上記、個々の山形市方言の文法事象や音韻事象に対応する標準語の表現を、内省によって、対照表の形にして一覧に加えた。さらに、日本語記述文法研究会編『現代日本語文法』全７巻などによって、上記対照表を、標準語の側から大幅に拡張する作業を進めるとともに、それに対応する山形市方言の表現を追加した。
（3）複雑度をはかる指標の設定。（2）の対照表をもとに、音韻、形態、文法形式等を中心とする、複雑度をはかるための指標群を選定する作業を行った。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の令和元年度は、（1）先行研究の整理と批判的検討、（2）方言対照データベースの作成、及び、（3）方言間の対照と類型化に使用できる複雑性の指標の設定の、３つの作業を中心的に行った。（1）については整理したところまでを口頭発表の原稿にまとめた。また（2）については、エクセルを使用して、初年度の重点的な対象とした山形市方言と標準語の特徴的な言語事象の入力を進め、対照表を作成した。（3）については、（2）で作成した対照表をもとに、その指標の検討を進めているところである。
（1）でまとめた口頭発表原稿は、2020年度3月24日に開催予定の第４回「HiSoPra研究会（歴史社会言語学・歴史語用論研究会）」（関西大学）で公開予定であったが、開催中止のため次年度送りとなった。この点、成果の公開に遅れが生じることとなったが、初年度に予定していた研究のための基礎的な作業は、おおむね計画通りに達成している。
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| Strategy for Future Research Activity |
令和２年度は、（1）先行研究の整理と批判的検討、（2）変種間対照データベースの作成、及び、（3）方言間の対照と類型化に使用できる複雑性の指標の設定の、３つの作業を継続する。具体的には、（1）の作業については展望論文にまとめる予定である。（2）については、山形市方言と標準語の方言対照データベースにさらに事象を追加するとともに、天草方言とハワイ日系人日本語変種のデータを加えて４変種対照表に拡張する。その対照表をもとに、さらに、（3）の複雑性の指標を設定する作業を進める。
令和３年度には、以上の作業をさら拡張して継続するとともに、研究成果を論文にまとめる。
以上、すべて当初の計画通りであり、計画に変更を加えるべき箇所はとくにない。
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| Causes of Carryover |
令和元年度に口頭発表を予定していた研究会の開催地が、年度の途中で関西に決まったため、旅費の執行が不要となった。また、その研究会も新型コロナウイルス感染拡大のため中止となり、HPで公開予定だった英文要旨の校正費等も不要になった。
以上いずれも、次年度以降に延期して執行する。
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