2020 Fiscal Year Research-status Report
現代日本語における外来語表記の動態把握と問題解決に向けた調査研究
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19K00633
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
笹原 宏之 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (80269505)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 外来語表記 / カタカナ表記 / 漢字表記 / 当て字 / 音訳 |
Outline of Annual Research Achievements |
各種のメディアにおいて使用されたり言及されたりして出現した外来語の表記形の例から、分析を要する表記を選択し、それらに関連する用例を補いながら検討に着手した。それらのメディアが定めている表記に関する規則についても確認を開始し、筆記素材による物理的制約条件、表記の産出時における生理的制約条件など、それらの背景に存在すると考えられる諸々の要因について個々に考察するなど、特定の表記形を生み出す原因の探索を行った。 これまでの調査を通して、外来語の表記には、各種のゆれと変異とが存在することが確かめられたが、それらの原因を究明するために、歴史的な文献に対する探究も行った。とくに文化庁が25年間にわたって実施してきた「国語に関する世論調査」に現れた外来語などの表記に関する意識などの実情と、イギリス系のヤード・ポンド法の度量衡単位を表す「哩」「呎」「吋」などの字の出自を明確化した。さらにベトナムからの外来語「パー(ba)」に関しては、京都の西陣の織物業界などでの受容と変容と位相性を確かめ、国内での字喃の受容と変容という極めて稀有な実例を捕捉することなどもできた。 そうした事柄について公刊に向けて執筆と編集などの作業を進めている。そのほかにも、梶井基次郎の「檸檬」の原稿における「レモン」の表記と誤字体の実態の解明と、「ウィルス」の揺れなどを含めた外来語表記を決定する際の意識と、表記形が与える表現効果について、実際に表記を産出している人たちへの聞き取りも実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルス感染症の影響により、図書館において文献調査を実施することに若干の支障が生じてはいるが、図書の電子版を利用したり古書を購入したりするなどの対応によってほぼ補完できている。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルスの感染状況を注意深く見守りながら、可能な範囲で計画通りの研究を遂行していく。
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