2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K00656
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Research Institution | National Institute for Japanese Language and Linguistics |
Principal Investigator |
鑓水 兼貴 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 研究情報発信センター, プロジェクト非常勤研究員 (20415615)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 ゆかり 日本大学, 文理学部, 教授 (40305503)
三井 はるみ 國學院大學, 文学部, 教授 (50219672)
竹田 晃子 立命館大学, 衣笠総合研究機構, プロジェクト研究員 (60423993)
林 直樹 日本大学, 経済学部, 講師 (70707869)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 方言学 / 社会言語学 / 日本語学 / 言語地理学 / 言語調査法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、(1)調査地点の「高密度化」、(2)方言資料の「高密度化」、(3)言語動態モデルの検証という3点からなる。 (1)アンケート調査・分析システムRMSの改良:研究実施計画で示したRMS(Real-time Mobile Survey)システムの4点の改良点については、新システムへの組み込みが遅れているが、2021年度の完成に支障はない。 以下に4点の進捗を示す。「スマートフォンへの対応」については、WEB調査会社やGoogleフォームにおけるスマートフォン表示の検討を行った。「マルチメディアへの対応」については、音声を再生して質問に回答するWEBアプリの実験を行った。「横断検索システムとの統合」については、個々のデータが改訂された際にデータの連結をどう維持するかについて検討を行った。「個人情報保護の強化」については、回答者の承諾レベルによって質問範囲を変えるためのWEBアプリの実験や、調査会社のWEBアンケートシステムにおける承諾方法の検討を行った。これら4点を新システムに組み込み、2021年度に実験を行う予定である。 (2)方言資料の統合的利用のためのデータベースの拡充 :首都圏における調査方法の異なる方言調査資料の集積作業を継続した。「方言データベース」の統合については、既存の言語地図資料でデータベース化されていない地図記号について、記号の統合を新たに追加し、検討を行っている。関東以外の調査資料については、東北地方の大規模調査データの入力が進んでおり、2019年度から引き続き、RMSシステムによる地図作成実験を行っている。 (3)首都圏の言語動態分析:東京都で1800人の新規調査を実施し、言語地図を作成して検討を行っている。言語地図作成において、属性別集計や項目間比較など、データの表示方法についても検討し、新システムの改良を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの進捗状況について、研究実績の概要の分類に従って述べる。おおむね順調に進展していると考える。 (1)アンケート調査・分析システムRMSの改良:新型コロナウイルス感染拡大により大学の授業が1年間ほぼ遠隔授業となったことから、授業でのツールの実験は2021年度に延期した。アンケート調査データについては、RMSと類似した方法によって、WEB調査会社を用いて東京都で1800人の言語地理学的調査を実施した。研究実施計画で示した改良点に関する個別の実験は継続し、新しい言語調査ツールへの統合作業も進めている。「スマートフォンへの対応」「マルチメディアへの対応」「横断検索システム」「個人情報保護の強化」の実験も、2019年度からさらに問題意識を深めて進展している。新規RMSシステムの完成は2021年度になるが、2020年度の実験で技術的な問題はクリアしており、最終的な計画遂行に支障はないと考えている。 (2)方言資料の統合的利用のためのデータベースの拡充 :関東地方の未電子化資料については、画像、テキストともにデータベース化を継続中である。(1)で示したように、昨年度につづいて東京都におけるWEB調査を実施したため、言語地理学的調査のデータベースの拡充も進んでいる。関東地方以外の電子化資料については、東北方言の言語地理学的資料の作成がさらに進んでおり、2021年度には他の資料との統合的分析を行う予定である。以上から、順調に進展していると考える。 (3)首都圏の言語動態分析:(1)で示したように、WEB調査会社を用いて東京都で1800人の新規調査を実施した。昨年度とは異なり東京出身者に限定していないため東京居住者の実態を示した調査である。そのため首都圏の言語動態について、東京移住者を含めた言語動態の実態について、分析作業を行っている。以上から、順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策について、研究実績の概要の分類に従って述べる。 (1)アンケート調査・分析システムRMSの改良:改良すべき4点について統合をした新しいRMSシステムとしての実験をする。2020年度は遠隔授業の関係で実験を控えていた大学の授業における調査実験を進める。また、RMSシステム公開のためのマニュアル作成を行う。 (2)方言資料の統合的利用のためのデータベースの拡充 :関東地方の言語地理学的資料の整備を継続するとともに、東北地方のデータベースとの統合や、RMSシステムを利用した言語地図作成の実験を進める。 (3)首都圏の言語動態分析:これまでに実施した2019、2020年度の調査データと、2021年に実施予定のRMSによる調査データ、そして(2)で整備した関東地方の言語地理学的資料を総合した分析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度は勤務形態の大幅な変更(遠隔授業、在宅勤務)により、旅費の使用がなかったことや、RMSシステムの実験を2020年度は断念したため2020年度のレンタルサーバーの性能を下げたことにより、結果として、2020年度の予算使用を抑えた形となった。 2020年度の残額は、2021年度の物品費、旅費等に使用する予定である。
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Research Products
(6 results)