2019 Fiscal Year Research-status Report
部分関係の種類と表現形式の対応関係に関する日英対照研究
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19K00658
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
田中 秀毅 横浜国立大学, 教育学部, 准教授 (50341186)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 部分構造 / A out of B / 部分構造制約 / 部分・全体の関係 / グループ・メンバー / 割合 / 定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、(1)A of B(部分構造)とA out of Bが表す部分・全体の関係の共通点と(2)部分構造の第2名詞句(ofの後ろの名詞句)が不定でも許容される条件について考察した。 (1)については、部分構造の第2名詞句が定になる場合(one of the ten studentsなど)と不定になる場合(one of many applicantsなど)があることを踏まえ、後者ではグループ・メンバーの関係でなく、漠然とした割合を表されると分析した。一方、A out of Bでは、基本的にone out of ten applicantsのように2つの数が対比されるが、one out of many applicantsのように第2名詞句(out ofの後ろの名詞句)が明確な数でない場合は、「1対多」のような漠然とした割合を表すと分析した。以上から、部分構造とA out ofBはいずれも漠然とした割合を表せることが明らかになった。 (2)については、half of all participantsやonly three of all studentsのような第2名詞句が不定の部分構造が許容される条件として、(少なくとも)①第1名詞(句)が75%のような割合表現の場合と、②only threeやat least tenのように基数+<母集合との関わりを表す表現>である場合があると主張した。①では、*most of all participantsのように、比率的数量詞のmostが許されないことについて、mostの解釈に(集合全体でなく、)補集合との比較が含まれるとするMcCawley (1977)の分析を援用した。②では、基数詞がonlyやat leastを伴うと、数量に加えて、集合全体に対する評価の意味合いも生じるために第2名詞句のallと整合すると主張した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書で予定していたとおり、部分構造がグループ・メンバーの関係を表す場合について考察を進めることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究において、最終年度(2021年度)に取り組む予定の、日本語のとりたて詞を伴う数量表現(‘1個だけ’など)に関連する考察ができたので、今後は日本語と英語の対照分析の可能性も探っていきたい。
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Causes of Carryover |
当初はパソコン本体と液晶モニターの購入に450千円程度を充てる予定であったが、購入時期に取引業者の物流に大きな遅延が生じ(コロナウイルス感染症の影響)、年度内の納入が難しくなったことから発注を断念した。 次年度は上記の物品の購入に持ち越し分の予算を充て、翌年度分として請求した予算については研究計画書に示した配分を念頭に置いて支出する。
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