2019 Fiscal Year Research-status Report
パブリックスピーキングにおける「説得」のマルチモーダル分析
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19K00706
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
深澤 のぞみ 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (60313590)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山路 奈保子 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (40588703)
須藤 秀紹 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (90352525)
大江 元貴 金沢大学, 歴史言語文化学系, 助教 (30733620)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | パブリックスピーキング / 説得 / マルチモーダル |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の科研研究ですでに,非言語行動の説得に与える影響を調査するための方法を検討しているところであるが,2019年(R1)からは,この方法論を本格的に用いて分析を進めている。データとしては2つの種類のものを用いている。 1つは,H28までの科研でも用いたビブリオバトルのデータで,「全国大学ビブリオバトル」の動画について,視線行動や音声,ジェスチャーなどを要素とした分析を行い,説得に成功したスピーチとそれ以外のスピーチの特徴の異なりを抽出する。 もう1つは,スピーチコンテストの動画を用いた文化比較である。具体的には,日本で行われた外国人による日本語スピーチコンテストと, 英国で行われた英国人を中心とした外国人の日本語スピーチコンテストの動画等を用いた。同じ日本語を用いたコンテストにおけるスピーチであっても,指導者および聴衆や審査員による評価の内容が異なり,説得の効果にも影響があるということが少しわかってきたため,これらのコンテストスピーチの動画のマルチモーダル分析を行い,日本およびイギリスで行われ説得に成功したスピーチに特有の特徴を抽出し比較することで,文化的要因を探ることを目的とする。 本年度は,まず,視線行動の「共同注意」の機能が「説得」に積極的な効果をもたらす可能性が浮かび上がり,これについて詳細の検討を開始した。 また,スピーチコンテストの評価の文化比較について,スピーチに対する評価におけるジェスチャーの扱いについて,文化的背景によって大きく異なることがわかってきたので,アンケート調査を計画し,近く実施の予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は初年度であり,研究の枠組みを作り,本格的な分析をするための視点の確定をすることが大きい目的であった。その意味では,上述した分析を経て抽出した特徴の中か ら,特に視線行動と「共同注意」の機能が相手の説得に重要な要素である可能性が浮上し,次年度の実験的手法の軸に据えることができる見込みである。 またパブリックスピーキングの説得の文化比較については,説得力のあるパブリックスピーキングの評価の際に重視されることを,アンケート調査を元に,日本と英国における差を見ていこうとしており,調査を開始している。 現在,大きく成果をまとめるところには至っていないが,分析を進め,さらに新しい分析のための準備を進めつつあるので,おおむね順調に研究が進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
説得に大きい影響を与える可能性のある視線行動と「共同注意」という特徴を中心に,実験的な手法で,どんな要素がどのように 説得の成功に関係するかを調査する。 パブリックスピーキングの説得の文化比較については,パブリックスピーキングに対する評価の際に重視されることの調査を行っているが,今後は,この結果を元に,詳しいインタビュー調査を行い,パブリックスピーキングの持つ説得力の質が,文化によって異なる可能性について分析する予定である。
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Causes of Carryover |
ウィルス感染拡大問題のため,予定していた出張や他の研究者招聘などができなくなった。 今年度は,ウィルス感染拡大の状況を見ながら,必要な出張などをできる範囲で行い,他の研究者との交流が難しい場合,Web会議システムやそれに関連する物品の補強などに使用する。
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