2021 Fiscal Year Research-status Report
グローバルネットワークによる日本語・継承語の加算的バイリンガル育成に関する研究
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19K00738
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
落合 知子 神戸大学, 国際人間科学部, 准教授 (50624938)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 真弓 関西大学, 総合情報学部, 教授 (20268329)
吉富 志津代 名古屋外国語大学, 世界共生学部, 教授 (20608559)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 母語教育 / 継承日本語 / TEM / SNSバイリンガルネットワーク / ライフストーリー |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は2020年度に引き続きコロナ禍により、神戸、沖縄など国内での調査・研究活動と韓国とのオンライン調査を主に行った。 (1)落合は2021年度は2020年度から引き続き、神戸のベトナム系の19歳から26歳までの5名青少年のライフストーリー研究を行い、2022年2月に神戸大学大学院人間発達環境学研究科発行の『教育科学論集第25巻』に「母語を育む教育環境についての研究 : ベトナムルーツの青少年のインタビュー解析から」と題して共著論文(査読付き)を発表した。また落合は2021年度の在韓日本人児童生徒教育支援組織である九里歴史倶楽部と神戸の在日コリアン教育支援組織である在日コリアン保護者の会をつないでの意見交換会をオンラインで行い、韓国の在韓日本人の青少年と日本の在日コリアンについて研究する学生グループを結んでのオンライン交流会を行うなどの活動を行った。2022年度は渡韓しての交流会とインタビューを行う予定である。 (2)吉富はコロナ禍で果たせなかったボリビア調査の予備調査として、落合と共同で沖縄のボリビア協会やJICA沖縄などを中心に沖縄とボリビアの間での移民の行き来、ボリビアへの継承語教育支援について調査を行った。また吉富は「月刊兵庫教育」(2021年度11月号)に母語教育と外国籍児童の教育についての論文を掲載した。 (3)久保田の担当部分では、諸事情によりインタビュー分析が少々滞ている。その分、研究会にて、ケネス・J・ガーゲン著『関係からはじまる 社会構成主義がひらく人間観』で提唱されている概念、境界画定的存在ではなく関係規定的存在として「個」を捉える視点からTEM(複線経路等至性アプローチ)の概念を見直す試みをした
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍で海外調査を2020年と2021年ストップした関係で2022年まで研究期間を延長した。延長した1年で韓国とボリビア2か所での海外調査を行い、その成果を2022,23年度にわたって公開していく予定である。 コロナ禍で日本国内での調査に専念し期間があったので、日本国内のベトナム系の青少年、韓国系の青少年への聞き取り調査は進んだ。またオンラインを活用して日韓での交流が促進されるなど、コロナによるオンライン技術の進展一般化の恩恵を受ける場面もあった。また2022年2月に予定されているボリビア調査に備えて、沖縄での予備調査も進展した。これらの調査結果を順次論文としていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度、落合は8月に韓国に、2月にボリビアに渡航してこれまでオンラインや沖縄で予備調査を進めてきた日韓の在日韓国人青年と在韓日本人青年の対話、そしてインタビューから、いかに加算的バイリンガルへと青年たちが道を選んでいったのかを解明する。また神戸のベトナム系青少年を核にしたSNS上にバイリンガルネットワークを形成したので、その活動をさらに深め、「オンライン上の居場所」についての考察を進める。 吉富は落合とともにボリビアにおける継承日本語教育を行っているコロニアオキナワと沖縄県の行う継承語支援の関係を明らかにし、現地社会に開かれた継承語教育の可能性について検証を行う。 久保田は引き続き、ペルー系の保護者を対象にTEMによる加算的バイリンガル育成の成功要因の解明を行う。さらにケネス・J・ガーゲン著『関係からはじまる 社会構成主義がひらく人間観』で提唱されている概念、境界画定的存在ではなく関係規定的存在として「個」を捉える視点からTEM(複線経路等至性アプローチ)の概念を見直しながらインタビュー解析に応用する。 これらの研究成果を2022年度から2023年度にかけて論文化、また書籍化していくことを目指す。
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Causes of Carryover |
2020年度と2021年度に予定していた海外調査がコロナ禍のために行えなかった。今年度8月に韓国で、2月にボリビアでお調査を行う予定であり、2020年度2021年度国内とオンラインで行った調査研究活動についても順次公表予定である。
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Research Products
(6 results)