2020 Fiscal Year Research-status Report
Construction of French Didactics related to English, based on purposes and situations of foreign language education in English-speaking countries
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19K00813
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
中村 典子 甲南大学, 国際言語文化センター, 教授 (70299064)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 教行 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (30313498)
大木 充 京都大学, 人間・環境学研究科, 名誉教授 (60129947)
國枝 孝弘 慶應義塾大学, 総合政策学部(藤沢), 教授 (70286623)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | フランス語教育 / フランス語教授法 / 英語圏の外国語教育 / 英語の知識の活用 / French Didactics / 発言力を高める教材の構築 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、英語圏の外国語教育の目的・現状調査に基づき、英語と連携するフランス語教授法を構築し、実際に教材を作成後、授業での使用を経て、その有効性を検証する計画を立てている。 英語と連携するフランス語教授法を構築するためのアンケート調査に関しては、令和元年度に、大学1年生のフランス語学習者、約100人を対象としたパイロット調査を研究代表者が実施しているが、研究2年目にあたる令和二年度は、フランス語教員を対象として、教授法に関連する具体的な項目を織り込んだアンケートを実施した。本研究課題に沿ったアンケートの内容と項目に関しては、研究組織の全員で議論と検討を重ねた上で、日本語・フランス語の2言語でアンケートを作成した。そして、2021年3月、フランス語教育学会のメーリングリストなどを活用して、オンラインでアンケートを実施することができた。アンケートの名称は「学習者の英語の知識と連携しうる〈フランス語教授法〉の構築についてのアンケート」であり、約100人のフランス語教員からの貴重な回答を得ることができた。回答教員の内訳は、日本語母語話者が3分の2、フランス語母語話者が3分の1であった。現在、アンケートの集計とデータ分析に取り掛かっている。このアンケート調査によって得られた記述統計データに基づき、質問項目間の相関関係を調べるなどして、研究論文を発表する。また、学習者対象のアンケートを実施すべく、その内容と項目を再検討し、できるだけ大規模なアンケート調査を実施する計画である。 そして、英語と連携するフランス語教授法を構築するため、実際にトライアルのオンライン教材を作成し、学習者の質問や要望に応じて修正を行い、教材利用後の簡単なアンケートを実施することで「英語と連携するフランス語教授法」の有効性を検証する計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍のなか、本研究課題に関して、対面での会議は実施できなかったが、研究組織の共同研究者4人全員でオンライン会議を開き、令和2年度と令和3年度の計画を立てて少しずつ共同研究を進めてきた。ただ、総合的に考えると、予定よりやや遅れている。できるだけ多くの大学の学生に参加してもらいたいと考えている「学習者対象アンケート」は、しかるべき倫理審査委員会の承認を得ておきたいため、令和3年度後半の実施となろう。 令和2年度後半、英語母語話者でフランス語教育に従事する研究者を、海外から基調講演者として招聘し、国際研究集会を開催することを考えていたが、コロナ禍により実現できなかった。令和3年度は、オンラインでの国際研究集会の実施に切り替える。 なお、英語圏の外国語教育の目的・現状調査研究については、おおむね順調に進展している。令和3年7月、アメリカのルイジアナ州ニュー・オリンズで開催予定の American Association of Teachers of French の大会(令和2年7月から1年延期された大会)にて、研究代表者が発表することが決定している。ただ、コロナ禍のため、大会はすべてオンラインとなる旨の通知が先日、送られてきたので、オンラインで参加する。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、学習者対象の大規模アンケートの実施を計画している。そして、定量調査であるアンケート調査以外に、定性調査であるインタビュー調査を個別に実施することにより、アンケート調査だけでは測定できない、学習者の潜在的な希望や不安なども把握したいと考えている。 英語と連携するフランス語教授法の具体的な構築に向けては、学習者が必要に応じて参照できるオンライン教材(無料)の作成を進める予定である。学習者対象のアンケート調査の結果に応じて、教材の内容をある程度、変更できるように柔軟なかたちで進めていきたい。また、学習者がまとまった内容を外国語で発言しやすくなるような仕組みについても考察を進める。そのためには、フランス語と英語のコード・スイッチングを柔軟に行うための準備、言語や文化の異なる人々と意見交換するための心構えの養成なども射程に入れる。コミュニケーションにおけるアウトプット面の強化に関しては、英語圏の教材やフランスの口頭試問の方法を参考にしつつも、インタビュー調査を通じて把握しうる、日本の学生に特徴的な反応を踏まえた上で、日本の学習者の発言力が向上するような仕組みを考案したい。 また、英語母語話者のフランス語およびフランス語教育についての考え方について、国内の外国語教育担当者・研究者に広く知ってもらうため、英語母語話者でフランス語教育に携わっている海外の大学教員を招聘したオンライン講演会を令和3年度の後期に実施する予定である。さらに、令和3年度年末に、同時通訳付きの国際研究集会を計画している。
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Causes of Carryover |
突然のコロナ禍のため、令和2年度、参加予定であった国際学会、国内学会が中止または延期となり、旅費を使わなかった。また、海外から研究者を招聘して国際共同研究を実施する予定であったが、実現することはできなかった。研究組織の共同研究者4人が関西と関東に散在して居住しているため、共同研究のための会議はオンラインで実施した。 令和3年度は、学習者対象の大規模アンケート調査を実施する。また、当初の計画にはなかったが、定性調査として実施する、学習者への個別インタビューを通じて、英語もフランス語も並行して学びたい学生たちの学習状況、自律学習の現状を具体的に把握する。 大学の授業が今後も一部オンライン対応となる可能性を考え、本研究課題に関しても、どこからでもアクセスでき、使いやすいオンライン教材の開発に研究費を充てたいと考えている。 海外の研究者を招聘して開催する国際研究集会については、令和3年度は複数回、オンラインで実施する計画である。そのうちのひとつの国際研究集会については、フランス語・英語以外の言語教育関係者にも有益であるように、日本語への同時通訳者を手配する予定である。
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Research Products
(6 results)