2019 Fiscal Year Research-status Report
L2学習者におけるハングル読み書きの習得過程とその個人差に関する研究
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19K00818
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
宇都木 昭 名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (60548999)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
キム ミンス 東海大学, 国際教育センター, 講師 (20734833)
神長 伸幸 早稲田大学, 人間科学学術院, その他(招聘研究員) (90435652)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 朝鮮語 / 韓国語 / ハングル / 読み書き / ディスレクシア / 読字障害 / 外国語教育 / 第二言語習得 |
Outline of Annual Research Achievements |
韓国語(朝鮮語)を表記する際にはハングルという文字が一般に用いられており、初級段階のL2韓国語学習者はハングルによる読み書きの習得に多くの時間を割くことになる。本課題は,日本において第二外国語として韓国語を学ぶ学習者のハングル読み書きの習得を扱うものである。特に、ディスレクシア(読字障害)研究の知見を参考にし、読み書きの習得の困難さに大きな個人差がありうること、および、そこには表記体系の特徴が影響しうるという仮説のもとで研究を進める。 本研究課題の開始に先立ち、名古屋大学において、「朝鮮・韓国語」初級クラスの受講生を対象とし、ハングルの書き取り小テストを実施してきた。具体的には、録音された韓国語音声(音節単位)を学習者が聞き、答案用紙に該当するハングルを書くというものである。一回に行う書き取りは8問であり、毎回の小テストの中で多様な音節構造がまんべんなく現れるようにすることと、難易度を上げすぎないように限られた母音・子音のみを用いる(例えば、激音・濃音は用いない)ことなどの配慮がなされている。 本研究課題開始前は、予算の関係から、小テスト答案の一部のみを書き起こし、分析してきた。2019年度はまず、これまでに収集した全ての小テスト結果の書き起こしを行い、そのデータに対してクラスター分析などの手法で統計的に分析した。分析結果は未発表であるが、研究グループ内では結果をシェアした。その上で、分析結果を活かした形で2020年度以降に新たなデータ収集を行うべく、新たなデータ収集の方法について検討を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の主な計画は、当該研究課題の開始以前に収集した小テストの書き起こしを行い、それによって得られたデータの統計的分析を行うこと、および、それをもとに2020年度以降の新たなデータ収集の計画を練ることであった。2019年度にこれらは概ね達成された。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度のデータ分析結果をふまえ、2020年度以降は新たなデータ収集を行うことを目指す。ただし、これまで対面式授業を前提として立ててきた計画であるため、新型コロナウイルスへの対応として各大学の授業がオンライン中心となる中では、計画の立て直しが必要である。
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Causes of Carryover |
年度末の打ち合わせをオンラインで実施したこと、および、昨年度に研究発表を行わなかったことから、2019年度に残額が生じた。今後、「withコロナ」の時代のオンラインを主体とした調査のための準備に充てる予定である。
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