2019 Fiscal Year Research-status Report
オンライン外国語学習における学習行動ログデータの構成概念化に関する基礎研究
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19K00903
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小野 雄一 筑波大学, 人文社会系, 教授 (70280352)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲谷 佳恵 東京工業大学, 教育革新センター, 特任講師 (70771864)
石井 雄隆 千葉大学, 教育学部, 助教 (90756545)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 文法知識推定 / システムの構築 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は申請後に決まったCEGLOC棟の耐震補強工事が実施されたため、オンライン環境での授業実践が実施できなかったため、予定していた試用実験を含め、大きな実験は来年度以降にすることとした。その代わりに、試用実験の予備実験という位置付けで、今年度は学習履歴データと文法知識、構成概念設定として認知言語学的概念の有用性について検討した。 こういった研究成果は、国際会議ICCE2019の中で研究発表として発表を行ったほか、同会議の招待講演(Thematic-Invited Speech)の中で発表を行った。ここでは、主に、いわゆるブレンド型授業の一部と考えられる反転授業の枠組みをとり、学習者がどのような取り組みをおこない、どのような知識構築が起こって、自分の考えを発表するに至ったのかという学習プロセスを、エビデンスに基づいた方法で可視化、分類、予測を行っていく必要性について述べた。 現在、平時に戻った時を想定した授業デザイン、学習環境を想定した、現在の学習支援システムの修正をおこなっている。特に、モバイル端末に特化した学習支援システムとデータ収集について、株式会社チエル社の支援のもと、特にスピーキングとリスニングについて、学習者のオンライン上の行動、例えば、リスニングであれば、何回繰り返すか、どの部分で繰り返すか、スピードを変えるのか、などのデータ収集を可能にする仕組みを構築中である。このことでリスニング能力を推定する要因について、ログデータの収集環境がさらに向上したことになり、さらなる要因を踏まえた分析が可能な状態になった。来年度から、一部クラスの中で利用を進めていきたいと思っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在のところ、後期(秋学期)筑波大学のCALL教室が使用できなくなったという点もあって、試行実験が進んでいない点が遅れている要因となっている。対案として、BYOD環境でも実行できる枠組みを検討し始め、データ収集を行う枠組みを検討している。現在コロナ危機でこの意味でも実験計画を修正することも検討する必然性が生じており、現在検討を重ねているところである。そのようなことから、試行実験の準備が整っていないという点については、研究計画時の想定から若干遅れていると言わざるを得ないが、少しずつ、準備を進めているところである。 さらに、国内外の学会も次々と中止になっているところもあり、研究発表についても現在再検討している段階である。しかしながら、来年度は多くの大学においてオンライン遠隔授業を実施することが決まっているため、ある意味実証実験を行いやすい環境になってきていると言える。現在、想定していた授業デザインを若干修正し、学習者のICT環境に合わせた形でシステムを最適化することも含めて実施することを検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
ともかく、令和2年度は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、様々な教育現場において通常の授業ができない状態になっているため、特に春学期については、学習者のICT環境を見定めた上で、システムの最適化を検討している。希望的観測としては、秋学期になって少しでも常時にもどることを念頭に置きながら、可能な授業デザインを春学期のうちに検討した上で実施できるように検討していきたい。具体的には、オンライン授業が慣れてきた学習者の学習方略に変化がある可能性がある可能性もある。そもそも、同期的な学習を好む学生と非同期的な学習を好む学生と差が出てくる可能性も十分に考えられる。つまり、この期間の中で学習者の学習方略、学習スタイル、場合によっては、ビリーフの変容のようなことが起こっている可能性がある。本研究の関連事項として、このオンライン遠隔授業の期間を経た後の授業での実践については、これまでの経験則では触れられていない注視なければならない事項が出現していると思われる。
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Causes of Carryover |
予定していた国際学会参加がキャンセルになったため。
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Research Products
(10 results)