2023 Fiscal Year Research-status Report
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19K00933
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山田 賢 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 教授 (90230482)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 郷土 / 自治 / 地方志 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は東アジア近世から近代の相互認識と相互の照応関係、淵源について検討するものであるが、昨年度は近代中国と近代日本における「地域」認識の比較史について検討した。近世末期から近代にかけて、本来「在地」の意味しかなかった「郷土」という語彙が、中国においても日本列島においても、居住者のアイデンティティや地域社会の歴史・伝統と結びつきながら使用されるようになる。また、それぞれの地域において、郷土の歴史や風物を語る地誌が編纂されるようになるのも共通した傾向であった。これらの動向は一面では、近代国民国家の形成と「自治」の誕生に促され、相互に影響し合いながら形成されていったのだが、ただし現象としては共通しながらも、異なった内実のもとに現れたものであったことに留意しなければならないだろう。近世の日本列島においては、それぞれ地域ごとに形成されていた集団における強固な統合を積み上げつつ、地域社会の「自治」が構想されたのに対して、近代中国においては、国家統治が粗放であるからこそ、在地エリート層の結集の結果として「地域」が生成されたのである。近代東アジアにおける「自治」の言説は、こうした背景から切り離されて、表面的には類似する社会現象として語られたのである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度については中国の文書館・図書館において最終調査を行うとともに、中国の研究者との対面研究交流を目指していたが、渡航の困難によりこれを断念したため。中国との研究交流は2024年度に繰り延べることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度9月には中国杭州への渡航計画を立てている。ここでの日中相互認識と書籍に関わる研究交流を通して、本研究のまとめを行うとともに、中国における文献調査を実施する。
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Causes of Carryover |
日中比較史を一つの焦点としている本研究は、もともと研究の総仕上げとして、コロナ禍で中断していた中国での資料調査を実施するとともに、対面交流によるディスカッションを想定していた。しかしながら、2023年度においても渡航はなお容易ではなかったため、渡航を伴う史料調査と研究交流を2024年度に実施することとしたためである。
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