2019 Fiscal Year Research-status Report
Public Diplomacy and State Museums as a medium in Putin's Russia--
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19K00938
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
巽 由樹子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (90643255)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ロシア / 文化外交 / 美術館 / 記憶の政治 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、4月にマンチェスター大学よりヴェーラ・トルツ教授を招聘し、現代ロシアが国際発信力の強化に用いているネット・メディア「RT」に関する講演会を3回にわたって設定した。日本ではまだあまり共有されていない、イギリスの研究者グループによるプーチン・ロシアのメディア戦略の研究動向を知るとともに、トルツ氏と議論し、教示を受けたことは、自身の研究を大いに深化させることにつながった。つづいて、6月に東京で開催された国際学会East Asian Conference on Slavic Eurasian Studiesで“Culture and Diplomacy in Japan -- Soviet Union Relations in the 1950s -- 1970s”と題するパネルを組織し、"Canonizing Russian Fine art in Japan in the 1970s "というタイトルで学会報告をおこなった。自身の報告は、1970年代に焦点をあて、戦後日本へのロシア・ソヴィエト美術の導入に関するものであり、これを同時期のソ連文化の日本映画、文学、経済など、多様な分野への影響について分析している他の報告者と議論することで、新たな視角を得ることができた。その後は、年明け3月に2週間に渡り渡英し、マンチェスター大学、リーズ大学でソ連美術の日本への導入過程について報告する予定で準備を進めていたが、新型コロナ感染拡大により延期せざるをえなくなった。渡航可能な時期が再び来る時に備えて、準備を重ねておくことにしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上欄で述べたように、2020年3月の英国出張は中止となってしまったが、そのためのペーパーの執筆と、それに先立つ招聘、学会報告により、研究は相当程度に進捗した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在まで、戦後の日ソ文化交流につき、日本側の史料を収集してきたが、今後、モスクワのアーカイヴにおけるソ連側の史料を集めることも不可欠である。新型コロナウイルス問題により渡航の目処が明白には立たないが、デジタル・アーカイヴの史料の調査など、できる限りのことを進めながら、論文として査読誌に投稿する準備にあたりたい。
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Causes of Carryover |
2020年3月後半に2週間で計画していた英国出張を、新型コロナウイルス問題でキャンセルしたために、そのために使用予定だった経費が未使用となった。次年度以降、再度の出張、あるいはデータベース使用料などに割り当てることとしたい。
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Research Products
(2 results)