2020 Fiscal Year Research-status Report
境界域をまたぐ朝鮮人の社会に関する総合的研究 -朝鮮南部・玄界灘・瀬戸内を対象に
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19K00945
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
愼 蒼宇 法政大学, 社会学部, 教授 (80468222)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
檜皮 瑞樹 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 准教授 (00454124)
宮本 正明 大阪経済法科大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (20370207)
鄭 栄桓 明治学院大学, 教養教育センター, 教授 (90589178)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 朝鮮人 / 境界 / 植民地 / 冷戦 / 労働 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度においては、2019年度に中止せざるを得なかった岡山市立図書館における町村役場文書の史料調査を優先して行い、その後、韓国南部の沿岸・島嶼に 関連する歴史史料の調査を行う(4泊5日)予定であった。前者に関しては、3泊4日を予定しており、同時に広島県福山市歴史資料室に所蔵されている市町村役場関連の文書についても調査を行う予定であった。後者については、釜山、巨済島、済州島の図書館、歴史博物館・資料館を中心に史料調査を行うとともに、関連地域の巡検踏査を行う予定であった。しかし、新型コロナウィルス感染状況の深刻さの中で、関東を出てこれらの地方で資料調査を行うことはできなかった。 そこで、本年度は関東を出ずに行うことができる資料収集と整理、研究の推進に力を注いだ。具体的には、①朝鮮半島南部と玄界灘(対馬・壱岐・五島列島ほか)、そして瀬戸内の島嶼・沿岸地域の地方自治体史でまだ入手していなかったものを入手し、そこから在日朝鮮人史に関わる記述、史料の所在を浮き彫りにする、②上記の地域において、明治後期から植民地期、戦後にかけての在日朝鮮人の動向や対朝鮮人政策、地域社会の動向がわかるような郷土新聞を発掘、国会図書館などで調査を進める、③研究成果に関する報告会を行う、という3点である。①については、福江市史・平戸市史・大村市史など長崎県の市町村史、福山市史・尾道市史・呉市史など広島県の市町村史、倉敷市史・牛窓町史など岡山県の市町村史の分析を行った。②についても、上記の県における郷土新聞を調査した。報告の研究会は2020年10月と2021年3月の2回行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度の当初の予定は、2019年度に中止せざるを得なかった岡山市立図書館における町村役場文書と広島県福山市歴史資料室に所蔵されている市町村役場関連の文書の史料調査を優先して行い、その後、韓国南部の沿岸・島嶼に関連する歴史史料の調査を行う(4泊5日)ことであった。しかし、2020年2月から深刻化した新型コロナウィルス感染の猛威は、私たち研究者に直撃し、2020年度の夏期、冬期に予定していた資料調査を断念せざるをえなくなった。本研究は新しい史料の調査と発掘なしには大きな進展はできない。よって、この点では研究が遅れていると言わざるを得ない。 他方で、長崎県・広島県・岡山県の市町村史、郷土新聞については改めて収集・検討することが出来た。この点は次年度以降に向けて、成果であったといってよい。とはいえ、新しい市町村史料の発掘が本研究の柱である。ゆえに進捗状況は「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は史料調査はすべて2020年度の計画をスライドさせることにする。具体的には岡山市立図書館における町村役場文書の史料調査を優先させ、広島県福山市歴史資料室に所蔵されている市町村役場関連の文書についても調査を進める。この点については、新型コロナウィルス感染状況やワクチン接種の進行と関連させると、夏期は困難であっても、冬期以降に再開できる可能性は高いと考えている。 もうひとつが韓国南部の沿岸・島嶼に関連する歴史史料の調査で、釜山、巨済島、済州島の図書館、歴史博物館・資料館を中心に史料調査を行うとともに、関連地域の巡検踏査を行う予定である。しかし、この調査については、2021年度も見通しは立たないといわざるをえない。こうした点も鑑み、本研究を1年延長することを考えている。 また、資料収集から考証へと研究を進め、その成果を報告する研究会を2度設ける予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染の影響で、予定していた2回の史料調査が出来なかったこと、これに尽きる。本研究は資料調査が基盤であり、それを別の使用に当てるわけにはいかない。今後も、積み残されている2回の史料調査のために使用する。
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Research Products
(12 results)