2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K00984
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
真辺 将之 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (80546721)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 市島謙吉 / 早稲田大学史 / 大隈重信 / 自由民権 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、まず第一に、市島春城が遺した膨大な史料について、早稲田大学図書館所蔵の資料を中心に、目録作成を引き続き行った。ただし、本来研究補助者として雇用する予定であった人物が、妊娠・出産を迎えてしまったために、雇用することができなくなり、そのため、研究代表者が一人で入力作業を行わざるをえず、進度については、若干遅れ気味となってしまった(またその分、補助金額も少し多く残ってしまった)。次年度については、既に雇用を内諾している研究補助者がいるために、今年度活用できなかった分も含めて、完成に向けた作業を進めたいと考えている。 また以上の目録入力作業を行う一方で、市島が関与した諸活動についての考察を深めるために、関連する諸種の図書資料を購入して検討する作業も行った。この点について、最大の成果といえるのは『早稲田大学百五十年史』第一巻の刊行である。個人の著作物ではないが、研究代表者の執筆部分はもちろん、それ以外の部分においても資料情報を提供することによって、記述に大きく本研究によって得た知見を反映させることができた。 このほか、佐賀市主催の大隈祭にて、「大正時代の"大隈ブーム"―新時代の幕開け―」と題する講演をおこなって、研究成果の一部を社会に還元することができた。その講演内容は『早稲田大学史記要』にて活字化されたほか、小林和幸編『思想史講義 明治編Ⅰ』(ちくま新書)に「自由民権」と題する論考を、小林和幸編『東京10大学の150年史』(筑摩選書)に「早稲田大学一五〇年史」と題する論考を発表し、本研究による成果の一部を盛り込むことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究補助者として雇用する予定であった人物が、妊娠・出産を迎えてしまったために、雇用することができなくなり、そのため、研究代表者が一人で入力作業を行わざるをえず、その分進度が遅くなってしまった。幸い、その分の研究費は基金として繰り越すことができたため、次年度その遅れを取り戻し、完成に向けてスピードを上げていくことができればと考える。また研究代表者が執筆の中核を担った『早稲田大学百五十年史』の第一巻の完成年度であったことから、そちらに取られる時間が多く、そのため予定していた新潟出張を遂行できなかった。こちらも来年度実行できればと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度が研究の最終年度であるため、まずは史料目録の完成に向けて、ラストスパートをかけたいと考えている。また史料の内容分析についても深めていき、論文として発表できるよう調査を進めていきたい。またかねてから予定している新潟県立図書館所蔵の史料調査のために新潟への出張も行いたい。さらに、市島謙吉や大隈重信が関係していた政党に関する内容を資料中に豊富に含むことや、市島が勤務していた早稲田大学にかかわる記述が豊富であることをふまえ、特にイギリス流の立憲政治の受容、ならびにイギリス教育政策やイギリスの学問の受容史、および市島とともに早稲田大学の経営にあたっていた高田早苗の英国出張についての調査を行う必要を感じたため、イギリス出張を行って、その受容に関わる資料収集を行いたいと思っている。また大隈重信の東西文明の調和の理念に密接にかかわり、早稲田大学にも募金を行い、大隈や市島とも面会したアルベール・カーンについて、その史料を調査するためにフランスにも出張を行いたいと考えている。そのことで、本史料を、日本史の枠組みを超えたグローバルに位置づけることを目指したいと考えている。
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Causes of Carryover |
研究補助者として雇用する予定であった人物が、妊娠・出産を迎えてしまったために、雇用することができなくなり、そのため、研究代表者が一人で入力作業を行わざるをえず、その分進度が遅くなってしまった。幸い、その分の研究費は基金として繰り越すことができたため、本年度は既に新しい研究補助者の雇用の内諾を得ているため、その遅れを取り戻し、完成に向けてスピードを上げていくことができればと考える。また研究代表者が執筆の中核を担った『早稲田大学百五十年史』の第一巻の完成年度であったことから、そちらに取られる時間が多く、そのため予定していた新潟出張を遂行できなかった。こちらも次年度実行したい。
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Research Products
(6 results)