2021 Fiscal Year Research-status Report
家・町・町家の存立基盤をめぐる歴史学的研究―京都市太子山町・秦家を事例として―
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19K00986
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
秋元 せき 同志社大学, 人文科学研究所, 嘱託研究員 (20469208)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 丈広 同志社大学, 文学部, 教授 (60467397)
三枝 暁子 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (70411139)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 秦家文書 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は京都市下京区太子山町に所在する秦家に伝来した古文書を中心とする歴史資料の分析・研究を通して、日本史におけるいわゆる「町家」と「町」と「家」の関係性を歴史学的に究明し、都市における「町家」の存立基盤を歴史学的観点から解明することを目的とする。 令和3年度は、昨年につづき、コロナ禍における様々な制約のなかで、実施可能なものから調査・研究を進めた。(1) 20世紀以降現在に至るまでの家の生業・文化の継承のありようを明らかにするため、これまでの聞き取り調査の記録を整理し、原稿化の作業を進めた。同家の継承者からの聞き取り調査は継続中である。(2) 昨年度に続き、京都市太子山町の薬種商「秦家」に伝来した古文書(京都市歴史資料館所蔵「秦家文書」)及び「太子山町文書」の解読を進めた。〔担当秋元、副担当小林・三枝〕 (3) 昨年度は延期せざるを得なかった現地での記録撮影を再開し、11月中旬・12月下旬に同家での日常生活の様子などを撮影した。〔担当西村〕 また、これまでの研究成果の一部として、京都市下京区の「太子山町文書」及び「秦家文書」から19世紀京都における商家の女性当主の動向に着目し、「柏原一件」と題する紛議や、家屋敷継承における女性当主の役割を検討した。同文書の調査により明らかになった天保期から弘化期にかけての家督相続に関する文書や、三行半(離縁状)などの分析を通して、江戸時代後期における女性の相続と「町家」の継承をテーマに、研究発表の機会を得た。〔担当秋元〕 この他、調査成果報告書の作成にむけて、12月に対面での研究会を秦家住宅において開催し、研究の進捗状況と役割分担の確認を行い、次年度以降の計画について検討した。〔担当三枝〕
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度は、令和2年度に続き、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策のため、祇園祭山鉾巡行や関連行事が中止や延期の措置がとられた。こうした状況から、本計画においても、当初計画では令和2年度に予定していた秦家住宅での展示について中止せざるを得なかった。 また、令和3年度の後半からは、秦家住宅での現地撮影を一旦再開できたが、コロナ禍での約2年の遅れを取り戻すには至っていない。現時点での進捗状況を確認し、令和4年度には、現地での記録撮影・聞き取り調査・研究会開催等を可能な限り進めたい。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点での進捗状況を確認し、現地での記録撮影・聞き取り調査・研究会開催等を可能な限り進め、調査成果からの刊行計画を具体化し、原稿作成を行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍において一部延期せざるを得なかった現地撮影や調査等を実施するため、必要となる経費を次年度に繰越した。令和4年度には、①物品費として、関係図書・ノートパソコン・HDD・PCソフト等の購入費、②旅費(京都―東京間、京都―長野)、③その他、音声起こしデータ作成料、調査成果報告(表題未定)の郵送料等を予定している。
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Remarks |
[公開講座]世界人権問題研究センター〈人権大学講座〉 「近世京都「町家」の継承と女性戸主―京都市太子山町の事例から―(京都の歴史における近世女性像の再検討)」2021年11月29日、秋元せき
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Research Products
(6 results)