2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K00987
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
加藤 道也 大阪産業大学, 経済学部, 教授 (80389973)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 植民地官僚 / 植民地統治 / イギリス帝国 / 帝国史 / 帝国論 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度である令和3年度においては、昨年度までの研究成果によって明らかになってきた植民地官僚たちの思想および行動の共通性(集団伝記)および勤務した機関等の特徴に影響されたと思われる活動の共通性(組織記憶)を手掛かりにしつつ、さらに植民地官僚に関する伝記的研究を進めた。 昨年度までの研究によって、日本帝国の主要な植民地統治機関である台湾総督府、朝鮮総督府、関東都督府に関しては、具体的な植民地官僚についての伝記的研究を行うことができた。本年度は、さらに日本帝国の影響圏であった「満洲国」、外地的統治機構を有しつつも国内統治とも近接性のある独特な統治が行われていた樺太庁および南洋庁に着目することで、日本帝国全体における植民地官僚の統治認識の特徴把握を目指した。 満洲国については、台湾総督府および関東都督府に勤務経験のある大内丑之助に影響を受けたと述懐する「満洲国」国務院初代総務庁長官駒井徳三に関する伝記的研究を行った。また、樺太庁および南洋庁に関しては、それらの草創期に活躍した植民地官僚に関する資料収集と分析を行った。 本年度の研究成果としては、駒井徳三に関する論文、加藤道也「満洲国と駒井徳三-統治認識を中心に-」『大阪産業大学経済論集』第23巻第2号(2022年3月)として公表することができた。また、樺太庁および南洋庁に勤務した植民地官僚に関しても、研究会等で発表すべく準備している。 研究期間全体の成果としては、個別的・具体的植民地官僚の伝記的研究(ミクロ的研究)を蓄積していく中で、様々な植民地統治機関の組織的特徴を浮かび上がらせることができたと考えている(マクロ的研究)。植民地官僚の経歴と活動を分析した結果、彼らが本国の統治方針を尊重しつつも外地統治機関に一定の自律性を確保しようとしていたことが明らかとなった。それは強弱はあるものの外地統治機関共通の特徴を形成していたのである。
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Research Products
(1 results)