2020 Fiscal Year Research-status Report
新出・菩薩半跏像および金石文の分析による古代日本・朝鮮の弥勒信仰の研究
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19K00999
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Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
山崎 雅稔 國學院大學, 文学部, 准教授 (40459392)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 菩薩半跏像 / 弥勒信仰 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)昨年度進めてきた菩薩半跏像・弥勒菩薩関係データベースの整理・補充をおこなうとともに、(2)『日本書紀』敏達紀にみえる6世紀後半の弥勒信仰の受容に関する記事を糸口にして、古代日本・朝鮮で見つかっている菩薩半跏像や碑石、および弥勒信仰に関するおもな金石文の検討をすすめて、その成果の一部を論文にまとめて公開した(「敏達紀の弥勒石像と朝鮮三国の弥勒信仰」『國學院雑誌』第121巻第11号、2020年11月、pp.157-173)。また、(3)ポルトガルの国立美術館に収蔵されている菩薩半跏像について、同館の学芸員からの助言・情報提供を得て、その寄贈者と前所有者、同館への収蔵経緯に関する調査を実施した。当該仏像の像容を分析した贋作説を唱えている英語論文を翻訳したほか、寄贈者・旧所有者に関する文献を収集してそのバイオグラフィーの研究をすすめ、ヨーロッパの美術品関係オンラインデータベースを利用して19世紀後半から20世紀前半の売立目録、日本の売立目録データベース、韓国で刊行されている日本植民地時代の売立目録を博捜して、寄贈者が所有するきっかけとなった旧所有者の所有品に関するパリで開催されたオークション・カタログを見つけることができた。本資料により仏像が日本から流出したことがほぼ確実になった。これに加えて、旧所有者と日本の官庁との関係も判明した。調査の途中ではあるが、これらにより仏像の日本からの流出経緯の一端を明らかにできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウィルスの感染拡大により、海外渡航が制限され、当初の研究計画において予定していた中国・アメリカでの調査、ベルギーでの研究報告と意見交換を取りやめた。同じ理由から国内での調査も大幅に制限されたため、計画を変更せざるをえなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルスの感染拡大、ワクチン接種による終息状況にもよるが、今年度中に終息する見通しはないため、当初の計画を変更し、国内外での調査は実施しない。代替措置として、文献研究やデータベースを駆使した情報収集を進めつつ、緊急事態宣言が解除されるのをまって、都内の研究機関での資料収集を行い、次年度以降に新型コロナウィルス終息の目処がつけば、国外での調査を実施していく。また、2020年度の研究成果の公開に向けて準備する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染拡大により海外渡航が制限され、国外で予定していた調査・研究会参加を取りやめたことにより収支に大きな差額が生じた。次年度に国外での調査が可能な社会情勢となれば、実施できなかった調査を実施するが、状況の改善が見込めない場合は、文献調査・資料収集に重点をおいて研究活動をすすめ、国内の研究機関での資料調査を行う。
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