2020 Fiscal Year Research-status Report
中国辺縁部における漢代以降の窯技術拡散と政体の窯技術受容に関する考古学的研究
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19K01008
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
長友 朋子 (中村朋子) 立命館大学, 文学部, 教授 (50399127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 大介 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (40403480)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 考古学 / 土器生産 / 窯 / 東アジア / 窯集成 |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナ禍で出張ができないため、当初の予定を変更しモンゴルの窯調査や新羅地域の調査は行わないこととした。これに代わり、以下の通り研究をおこなった。 1.朝鮮半島の窯の集成表の作成:昨年度集成した韓国の窯リストの報告書を収集し、報告書から窯と窯出土土器をピックアップする作業を実施した。図表を含む窯の集成図を完成させて公開するための準備をおこなった。 2.東アジアの古代窯の分類:中国から朝鮮半島をへて日本列島へいたる古代窯の系譜をたどるうえで、それぞれの地域で異なる窯の分類をしていることが系譜関係を理解しづらくしていることが判明した。そこで、中国、朝鮮半島、日本列島の窯の形態をふまえ、東アジアに適用できる古代窯の分類をおこなった。さらに、中国の主たる2系統の窯の分布についても明示した。 3.東アジアにおける窯に関する英書作成:東アジアの窯の研究を編集者としてまとめる作業をすすめており、各執筆者から提出された原稿の編集作業を順次おこなった。9月に一部の原稿を残したものの原稿を出版社へ提出した。出版社から指摘された英文の不十分な原稿についてネイティブチェックをおこない、2月に再度提出した。この本では、中国、モンゴル、韓国、日本の窯について、科学分析、窯構造、生産体制など多様な観点から論じられる予定であり、本研究の成果もこの本により公表する予定である。 4.朝鮮半島の調理具の影響をうけた、奈良盆地の5世紀の蒸し調理開始期における研究成果をまとめた。昨年度の調査をふまえて検討した結果を、共同執筆により論考にした。来年度公開される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍のため、資料を実見し分析する調査ができなかった。また、海外研究の予定も変更せざるをえなかった。しかし、東アジアの窯に関する英書出版に向けた準備は、オンラインを通じて進めることができ、出版社へ原稿を提出する作業まですすめることができた。また、現地調査ができなかったため、朝鮮半島の窯の集成本の作成作業をすすめた。報告書を集成したのち、多量の報告書から窯と窯出土土器をピックアップし、遺物図面の縮尺を統一して図版を整える作業がほぼ完了した。また、中国、朝鮮半島、日本列島の窯を統一的な視点から分類する論考を完成することができ、窯の系譜を整理する基礎的研究ができた。予定は大幅に変更せざるをえなかったものの、以上の作業進捗状況と論考の公開により、概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度もコロナ禍がおさまる見込みがたたないため、資料を実見する調査は控え、手元に集めた資料を整理しながら、研究成果をまとめていきたい。 1.朝鮮半島の窯集成の作成:今年度の作業から継続して朝鮮半島の窯集成の作業をおこなう。窯出土の土器をすべて掲載すると煩雑になるので、代表的な土器をピックアップする作業をおこなう。さらに、見やすく1枚の図面にレイアウトをする。また、作成途中の表を完成させる。これらを終えて、次年度の集成図完成を目指す。 2.東アジアにおける窯に関する英書作成:原稿を出版社へ渡し、出版社から差し戻しのあった原稿のネイティブチェックを終えた状況である。次年度は査読と校正作業をおこなう予定である。出版社や査読者および執筆者の校正の進み具合によるが、次年度の出版をめざしできる限り円滑に編集をすすめたい。 3.蒸し調理と土器使用方法に関する論考の公開:今年度まとめた論考が公開される予定である。奈良盆地において、竈ではなく炉をもちいた蒸し調理がおこなわれる実態を、新堂遺跡の土器の使用痕分析から明らかにした。また、河内地域など他地域の研究成果との比較もおこなっている。 4.儀礼と食器の使用に関する論考の作成:以前に研究会で発表した土器使用と儀礼に関する内容を論考にまとめる。
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Causes of Carryover |
今年度は、コロナ禍のため予定していた調査をおこなうことができなかった。そのため、手元にあつめたデータを整理し、集成作業を集中しておこなった。このような研究計画の変更によって生じた研究費の差額により、次年度使用額が生じた。 次年度もひきつづき調査は大幅に控え、距離が近く可能な範囲に限って調査を実施することになる。代わって、窯の集成作業を集中しておこない、次年度に完成のめどをつけたい。これにより、当該研究補助金による研究の完成年度には、研究論考とあわせて基礎的な集成図と表も公開することができる。なお、集成作業を集中的におこなうためには人件費が必要なので、次年度使用額はこれに充てる予定である。また、完成すれば印刷を行う費用にも充てる予定である。ただし、これは作業の進度による。次年度末に印刷まで完了したいと希望するが、完成度の高いものを目指すため、進み具合により最終年度初めに印刷し公開することも視野に入れ、まずは着実に計画を遂行する。
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Research Products
(2 results)