2024 Fiscal Year Annual Research Report
説教の作成過程の解明―中世末期イタリアにおける托鉢修道会間の知的交流
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19K01054
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| Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
木村 容子 奈良女子大学, 人文科学系, 准教授 (10636997)
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| Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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| Keywords | 托鉢修道会 / 説教 / 写本 / 初期印刷本 / 中世ヨーロッパ / インテレクチュアル・ヒストリー |
| Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、説教が作成される過程を、托鉢修道会間の知的交流に注目して明らかにすることであった。それは単一の修道会の枠内で進展してきた説教研究に新たな視座を提供するとともに、テクストの背景にある知的文脈を探るインテレクチュアル・ヒストリーの研究にも刺激を与えることを意味している。 上記の研究目的に従い、研究期間全体を通じて、性格の異なる次の3種類の説教史料を複数検討することで、総合的な研究を実施した。①フランチェスコ会とドミニコ会の説教が混在する写本に注目し、托鉢修道会間のネットワークと知的交流を調査・分析した。その結果、両修道会が互いの説教を取捨選択して参照するプロセスを明らかにし、托鉢修道会の外部においても著名な托鉢修道会士の説教が独自の秩序によって筆写・参照されていたことを示した。②国際的に著名なフランチェスコ会説教師ロベルト・ダ・レッチェの説教を収めた写本と初期印刷本の国際的な流布の実態を調査した。そこから浮かび上がってきたのは、写本から印刷本への移行という単線的な流れではなく、中世末期における写本と印刷本の複雑な絡まりであり、修道会の垣根を超えた修道士たち、世俗の聖職者たちの説教作成の実態であった。さらに、本研究はロベルトの新たな説教写本の発見にもつながった。③近代以降は忘却されたものの、中世末期当時は著名であったドミニコ会説教師の自筆説教写本を分析した。結果として、サヴォナローラと同時期に活動した彼の説教が、ドミニコ会の知的伝統に依拠しながらも、当時のフランチェスコ会同様に同時代のフィレンツェでみられた人文主義的な知的傾向を摂取していた点、これまでして指摘されてこなかったが彼のように一人の説教師が複数の説教スタイルを併用していた点が明らかとなった。①②③の成果は、国際的に注目度の高い、学会・学術雑誌・出版社から出される論文集において発表された。
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