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2019 Fiscal Year Research-status Report

亡命オーストリア社会民主主義者の戦後構想と新自由主義の起源

Research Project

Project/Area Number 19K01074
Research InstitutionChiba University

Principal Investigator

小澤 弘明  千葉大学, 国際教養学部, 教授 (20211823)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2023-03-31
Keywords新自由主義 / 社会国家 / 亡命 / 戦後構想 / オーストリア
Outline of Annual Research Achievements

本年度は、新自由主義の起源及び社会主義国家や社会民主主義との関係についての基本文献を収集し、その分析を行った。起源については、1920年に遡って新自由主義の起源を研究するInnset(2020)やウォルター・リップマン・コロキアムについてのReinhoudt/Audier(2018)の研究を参照した。これによって、新自由主義と同時代の社会的自由主義や社会主義との対照関係について一層深い理解が可能になりつつある。
社会主義については、ハンガリーに関するFabry(2019)、カザフスタン・ウズベキスタンについてのYilamu(2018)が有用である。社会主義体制と新自由主義との関係は、体制転換後については研究が多いが、体制期に内在する問題点についてはハンガリーとユーゴスラヴィアを除き、まだ分析が進んでいない。
社会民主主義についてはヨーロッパと米国に関するMudge(2018)、オーストラリア労働党についてのHumphrys (2018 / 2019)、ニュージーランド労働党のロジャーノミクスについてのWallace(2014)という重要な研究を入手・分析した。ケインズ派の社会的自由主義を支えたテクノクラートたちが、どのように「第三の道」を標傍する新自由主義に流入していくことになるのかは、さらに地域ごとの差違を含め分析を進めたい。
こうした新自由主義の左派的起源については、新自由主義についての大部のハンドブック(Cahill et al., 2018)においても触れられており、研究領域として確立しつつあることが分かる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

研究の進捗のためには、刊行文献だけでなく未刊行の文書館資料を含めて分析を行うことが必須の課題である。このため今年度は、2月から3月にかけて海外文書館・図書館の調査を実行しようとしたが、新型コロナウイルスの流行のため、すべての文書館・図書館が閉鎖された。さらに、渡航予定の、イギリス、オランダ、スウェーデン、オーストリア、アメリカ合衆国のすべての国・地域に対して渡航中止勧告が早期に出たため、海外渡航そのもの及び海外における研究をいっさい遂行することができなかった。
また、海外調査の代替として、新自由主義を推進したモンペルラン協会と日本との関係を分析すべく、国立国会図書館の木内信胤関係文書(世界経済調査会関連)を利用しようとしたが、これも3月5日から国会図書館が休館となり現在も休館中のため、いまだ利用することができていない。また、各地の大学図書館も引き続き休館中であるため、図書館所蔵の文献を十分に利用するに至っていない。経済同友会の新自由主義推進委員会については、周年史や刊行物の分析を進めている。
しかしながら、上記のように一次資料の入手は全体として困難であるものの、二次文献については継続的かつ着実に収集した上で分析を進めている。特に、オーストラリアについての事例研究は優れたものであり大いに有用であった。そのため、初年度の研究の進捗状況全体としては、「やや遅れている」という評価に至った。

Strategy for Future Research Activity

今後の研究を推進するためには、やはり海外文書館・図書館の利用が必須であるため、渡航中止勧告が解除され、海外文書館・図書館が開館されるという条件で、積極的に利用を進めたい。また、これらの開館には時間差があるため、当初予定していた順序にかかわらず、国・地域・機関ごとに利用可能となる条件を見据えながら柔軟に研究を遂行したい。
次年度中に上述のような条件が整わない場合には、次善の策として文献の複写サービスやデータ化サービスを積極的に利用することによって、一次資料の入手につとめることとしたい。これも、ロンドン、アムステルダム、ストックホルム、ウィーン、スタンフォードにおける図書館・文書館の開館状況を見据えながら、柔軟に利用の順序を考慮したい。また、一次文献については、比較的入手が容易である雑誌・同時代文献等、同時代の刊行物を優先的に収集・分析することとする。
国内の図書館所蔵文献については、緊急事態宣言が解除され、それら図書館の利用が可能になった場合に、すみやかに利用を進めたい。特に国立国会図書館の木内文書の利用は実現したい。
二次文献については、順調に収集が進んでいるが、今後はヨーロッパ・北米・オセアニア以外の事例についても視野を広げて収集・分析を試み、比較の軸の複数化を図る。

Causes of Carryover

新型コロナウイルスの流行の結果、海外文書館・図書館における調査・研究が不可能になったため、旅費(海外旅費)のすべてを執行することができなかった。また、その調査・研究によって生じる予定であった未刊行文書の整理に要する人件費・謝金についても部分的にしか執行することができなかった。他方、二次文献の収集については順調に推移したため、物品費はほぼ計画通りに使用することができた。
次年度は執行できなかった旅費について対象地域への渡航が可能となることを前提として、計画的な使用を心がけたい。また、条件によっては短期渡航を複数回とするか長期渡航によって効率化を図るかについて、柔軟に対応することとする。また、海外旅費の執行が順調に進めばその分資料整理のための謝金等の執行が進むと考えられるため、次年度の予算執行を全体として確実に進めることが可能となる予定である。また、海外旅費の執行が計画通りに進まない場合にも、国立国会図書館をはじめ、国内所蔵資料の収集は別途進めるため、資料整理のための謝金等の執行は、研究の進展に合わせて可能となる。
なお、未刊行の文書館資料等の収集が状況により不可能となる場合には、雑誌と同時代文献の複写・データ化に注力するため、旅費ではなく相対的に物品費に振り替えを行うこともありうる。この研究計画の一時的変更は、今夏以降の状況の変動を検討しながら実行することとする

  • Research Products

    (4 results)

All 2019

All Journal Article (3 results) Presentation (1 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] 主旨説明 特設部会 歴史学における男女共同参画2019

    • Author(s)
      小澤弘明
    • Journal Title

      歴史学研究

      Volume: 983 Pages: 60-61

  • [Journal Article] 歴史学研究会における男女共同参画2019

    • Author(s)
      小澤弘明
    • Journal Title

      歴史学研究 増刊号

      Volume: 989 Pages: 204-208

  • [Journal Article] 1989年を世界史的に考える2019

    • Author(s)
      小澤弘明・永原陽子・鈴木茂(鼎談)
    • Journal Title

      思想

      Volume: 1146 Pages: 22-47

  • [Presentation] 開所記念講演「歴史学におけるエトノスとエスニシティ」2019

    • Author(s)
      小澤弘明
    • Organizer
      早稲田大学ナショナリズム・エスニシティ研究所
    • Invited

URL: 

Published: 2021-01-27  

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