2020 Fiscal Year Research-status Report
The Formation and Transition of the Immigration Communities in the Mississippi Delta during the Early Twentieth Century
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19K01091
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
伊澤 正興 近畿大学, 経済学部, 准教授 (40611942)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 移民政策 / サニーサイド農園 / イタリア人移民 / ペオネージ制 / 移民委員会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はイタリア人移民の入植事業を事例にとりあげ、南部の移民政策の特質を明らかにする。これまで20世紀初頭、南部への新移民はニューヨークやシカゴなどの北部工業都市に比して過小とされ十分に考察されてこなかった。しかし、南部では、農業、鉱工業、鉄道業、林業の発展にともない、黒人労働力が不足したため、外国人労働者への需要が高まった。そこで、本研究は移民委員会の構成員であった大農園主リロイ・パーシーによって着手されたサニーサイド農園の移民入植事業の実態および入植地を取り巻く状況を一次史料から解明していく。 本年度の研究成果はサニーサイド農園の移民入植事業の実態を浮き彫りにした点にある。先行研究によれば、サニーサイド農園の実態は不足する労働力を確保するため、ペオネージ制によって移民を強制的に農園労働に従事させた。ペオネージ制とは借金返済まで強制的に働かせ、本人の意思に反した労働契約とされた。しかし、一次史料を精緻に分析すると、パーシーはイタリア出身者の自作農化を支援することによって、入植地の成功事例を喧伝しヨーロッパ出身者を呼び込み、南部経済全体を発展させることを構想していた。こうした側面はペオネージ制を強調する先行研究とは異なる南部移民史の一齣を浮き彫りにした点で、南部移民史の発展に大きく貢献する研究成果といえる。ただし、南部全域においてペオネージ制が広く定着したことは事実であるため、今後、南部全体の移民政策とサニーサイド入植地の事例を掘り下げて考察し、一次史料に基づき精査する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は前年度に引き続き、世界的な新型コロナウイルス感染蔓延のために、アメリカでの史料調査を実施できなかった。こうした状況下であったが、連邦司法省のペオネージ関連文書やパーシー家文書が収集を終えて手元にあったため、関連資料についてはウェブ資料や図書貸借等の代替手段を積極的に活用することによって、遅延なく研究を進めてきた。入手した史資料を分析した結果、入植地内部の移民と農園主との関係を浮き彫りにすることができた。ここまでの研究成果は論文としてまとめ、すでに学会誌に投稿し、現在、審査結果待ちとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで史資料の収集と分析によってイタリア人移民入植地の状況だけでなく、移民入植地をめぐる経済的、政治的状況を把握することができた。そのうえで、最終年度の研究は、サニーサイド農園の事例研究の領域を超え、さらにペオネージ制の観点から南部移民政策の意義を考察していく。南部では南北戦争終結以降、外国人労働者の導入を積極的に推し進めてきた経緯がある。移民への優遇措置にもかかわらず、南部では移民が定着しなかった背景として、ペオネージ訴訟の問題があった。今後の研究では、南部一帯で繰り広げられた連邦司法省のペオネージ訴訟に焦点をあて、労働契約の違法性を精査するとともに、一連の事件が移民政策ないし移民をめぐる社会状況に及ぼした影響を明らかにしていく。なお、今後とも新型コロナウイルスが収束する見通しが不透明であるため、アメリカでの史料調査は困難と予想される。しかし、本研究では南部移民政策とペオネージ制との関係に焦点をあて、連邦司法省の訴訟史料を中心に分析することによって、現状、想定される研究上の困難を避けられると考えている。
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Causes of Carryover |
海外史料調査が困難であったため、本年度の予算を代替史料の購入費に充てた。その結果、わずかに予算を残したが、新型コロナウイルスの感染状況によっては、アメリカでの史料調査が可能になることを期待し、少しでも次年度予算を確保するため、本年度予算の一部を次年度に回した。
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