2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K01147
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Research Institution | Natural History Museum and Institute, Chiba |
Principal Investigator |
斎木 健一 千葉県立中央博物館, その他部局等, 研究員(移行) (40250055)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下稲葉 さやか 千葉県立中央博物館, その他部局等, 研究員(移行) (00761545)
黒住 耐二 千葉県立中央博物館, その他部局等, 研究員(移行) (80250140)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 学校所蔵標本 / 自然史標本 / 理科教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
千葉県立千葉高校、木更津高校、長狭高校、大多喜高校、安房高校、旧安房南高校、千葉女子高校の計7校と千葉県総合教育センターにおいて現地調査を実施した。その結果、多くの剥製、液浸標本、さく葉標本、骨格標本、昆虫標本等が確認された。記録は標本ラベルを中心に撮影することにより行った。撮影したラベルは、今後の研究に備えすべてデジタルデータ化した。標本の他、生物部誌等の二次資料も多数発見し記録した。 年度後半には、日本博物館協会の雑誌「博物館研究」において、自然史系学校標本の研究の現状を概観する特集「学校所蔵標本のこれまでとこれから」を担当し、企画実施した。このなかで、斎木は上述の調査で得られた結果をもとに、「なぜ学校に古い生物標本があるのか?」のタイトルで論文を公表した。論文のなかでは、教科書や学習指導要領、理科振興法別表などの資料と、学校での現地調査の結果をもとに、現在学校に保存されている標本が過去の学習内容を強く反映していること、したがって学校標本が存在する理由を知るためには過去教育との関連を調べなければならないことを明らかにした。 本研究の目的は、高等学校に保存されている標本の調査を通して自然史標本の保護と学校教育への活用を両立できるモデルを構築し、それを全国に普及することである。本研究実績は、学校所蔵標本が過去どのように活用されてきたかを明らかにするものであり、今後の活用に向けての基礎となるものといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要:千葉県立千葉高校、木更津高校、長狭高校、大多喜高校、安房高校、旧安房南高校、千葉女子高校の計7校と千葉県総合教育センターを調査し、多くの標本、調査資料を確認し、ラベルを中心に撮影、記録を行った。標本の他、生物部誌を多数発見し記録した。 各種標本の保存状態と課題:調査の結果、標本の一般的保管状況については次のことが明らかになった。さく葉標本:防虫剤の交換などが行われている例は稀で、多くの標本に虫害が確認された。ある程度放置にも耐えられる保存方法の提供が必要かと思われる。液浸標本:多くの学校で保存液の低下が確認され、補液に関する質問が寄せられた。ホルムアルデヒト使用の有無などを手軽に判断できる基準が必要と考えられる。昆虫標本:もっとも虫害が多く見られた。対応策の普及が急務と考えられる。剥製標本:ラベル記録への理解が普及しておらず、古いラベルの上から新しいラベルを貼ってしまう例が多く見られた。また場所を取るため廃棄処分された例が多く見受けられた。
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Strategy for Future Research Activity |
次のような活動を推進する。 1)調査範囲について:標本調査および並行して行ってきた文献調査の結果、私立高等学校にも多くの標本が保存されている可能性が明らかになった。そこで、新年度は県立高校の標本調査を引き続き行うとともに、県内外の私立高校の標本調査も始めたい。 2)保存方法について:実際に標本が保存されている学校の教員の協力を得て、学校という環境の元で入手可能な素材を用いた標本の保存方法を考案し、マニュアル作りを始める。 3)展示に向けて:調査の結果判明した学校標本のうち、古い標本、特徴的な標本、について個別に調査を進め、展示品リスト案の作成に着手する。 4)結果の取りまとめについて:昨年度執筆した論文「なぜ学校に古い生物標本があるのか?」は総論的であるため細部の記録が残せていない。教科書に掲載されている生物種と学校標本との関係や、学校生物部誌、理科振興法と標本との関係、などについて論文を執筆することにより、記録を残す。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の影響により、予定していた出張を行うことができなかった。新年度、感染症の影響がなくなった段階で出張を実施したい。
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Research Products
(1 results)