2022 Fiscal Year Research-status Report
エチオピア人出稼ぎ・難民女性の生活実践にみる「人間の経済」に関する人類学的研究
Project/Area Number |
19K01199
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松村 圭一郎 岡山大学, 社会文化科学学域, 准教授 (40402747)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 経済人類学 / 移民 / 出稼ぎ / エチオピア |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度も、新型コロナウイルスの影響により、海外での現地調査が実施できなかったため、国内での文献資料の収集や先行研究の分析を中心に研究を行った。 調査対象地であるエチオピアでは、2020年9月以降、政権の中枢を担ってきた北部ティグライ人と現政権との対立が激化し、11月に内戦状態に陥った。現地からの情報では、双方の占領地で医療施設や公的施設などが破壊され、大きな被害が出ているとともに、民間人への暴力や虐待なども報告されており、民族的な対立が先鋭化している。こうした民族間の対立が、移民コミュニティ内での分断につながっているという情報をえており、国内の政治状況が移民社会に与える影響についても、重要な研究テーマとして今後の課題のひとつとなった。 また、移民や難民が流出してきたヨーロッパでは、移民排斥を訴える政党が支持を集めており、多くの難民が地中海をわたってたどり着いているイタリアで、2022年10月に右派政権が誕生している。こうした移民・難民の移動先での政治状況も移民コミュニティに影響を及ぼしていることがさまざまな研究やヨーロッパの研究者との研究交流のなかで明らかになっており、移民政策の変更や国境コントロールなどの規制の強化、難民支援の縮小などの変化が起きる可能性が予想される。 2023年度は、海外渡航をともなう現地調査が実施できる環境になりつつあるため、ヨーロッパでまとまった現地調査を行う予定であり、そうしたテーマを念頭に起きながら、調査研究の遅れをとりもどす予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響で、海外渡航が困難な状況が継続しており、本科研で予定していた現地調査を遂行できていないため、当初の計画に遅れが出ている。
|
Strategy for Future Research Activity |
現地からの情報や研究交流のある研究者から情報収集をするなどして、今後、海外渡航が可能になったときに、調査テーマを絞って、効率的な現地調査の実施を計画中である。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルスによる海外渡航の制限が継続し、当初予定していた旅費等の予算執行ができなかったため。
|
Research Products
(3 results)