2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K01339
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
川口 美貴 関西大学, 法務研究科, 教授 (30224752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植村 新 関西大学, 法学部, 准教授 (10733975)
地神 亮佑 大阪大学, 法学研究科, 准教授 (80762038)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 労働者概念 / 使用者概念 / 労働組合 / 労働協約 / 団結活動 / 労働関係の変容 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、第一に、研究代表者、研究分担者、研究協力者全員が参加し、ゲストも招いた「労使関係研究会」を3回にわたり行い、各回において、研究代表者、研究分担者、研究協力者全員が、分担して、本研究の具体的な課題である、①団結権・団体交渉権・団体行動権を享受する「労働者」、②集団的労使関係における「使用者」概念、③労働者(組合員)の権利・自由と団結体(労働組合)の団結権・労使自治等との調整、④団結体(労働組合)による労働条件の集団的規律と代表性、⑤団結体(労働組合)が行使しうる団結権・団体行動権の範囲に関する報告を行い、討論を行った。これにより、現在の法理論の問題点、及び、集団的労使関係法理の再構築のための論点等を明らかにした。 第二に、研究代表者、研究分担者、及び、研究協力者の一人である山本陽大は、それぞれ、他の研究者や弁護士も会員である、関西労働法研究会又は労働法理論研究会で、前記第一で述べたテーマに関する報告を行い、参加者との討論を経て、本研究の具体的検討課題につき、知見を深めた。 第三に、研究代表者、研究分担者、研究協力者全員により、日本労働法学会第137回大会(10月31日)の大シンポジウム「労働関係の変容と集団的労使関係法理の再構築」を企画し、川口が「労働関係の変容と勤労者・労働者概念の再構築」、地神が「労働関係の変容と組合活動の法理-労働組合による情報宣伝活動を中心に」、植村が「非正規雇用と労働条件の集団的規律」、山本が「労働関係の変容と労働組合法理」のタイトルで、それぞれ報告を行い、シンポジウム参加者との討論を行い、研究内容を発展させた。 第四に、研究代表者、研究分担者、研究協力者のそれぞれが、第三記載の学会報告以外に、後記記載の論文掲載、図書発行、学会報告を行い、研究成果を社会に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度に行った、研究代表者・研究分担者・研究協力者各自の判例・文献等の研究、全員が参加・報告した労使関係研究会の開催、関西労働法研究会及び労働法理論研究会での報告と討論、図書の刊行と論文の掲載、及び、日本労働法学会第137回大会大シンポジウムでの報告と討論により、第一に、本研究の5つの課題(①団結権・団体交渉権・団体行動権の享受主体、②集団的労使関係における「使用者」概念、③労働者の権利・自由と団結体の団結権・組合自治との調整、④団結体による労働条件の集団的規律と代表性、⑤団結体が行使しうる団結権・団体行動権の範囲)について、特に、①に関しては、憲法28条の勤労者・労組法3条の労働者、②に関しては親会社の団体交渉義務(労組法7条2号の使用者該当性)、③に関しては、組合加入の自由と制限等、④に関しては非正規雇用と労働条件の集団的規律、⑤に関しては労働組合の情報宣伝活動の正当性について、労働関係の変容に伴う新たな法理を構築し発表することができた。 第二に、比較法研究においても、研究分担者の植村と研究協力者の山本が、山本陽大=井川志郎=植村新=榊原嘉明『JILPT資料シリーズNo.238・現代ドイツ労働法令集Ⅱ-集団的労使関係法、非正規雇用法、国際労働私法、家内労働法』を刊行し、ドイツにおける集団的労使関係法に関する研究成果を発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、第一に、日本労働法学会誌134号に、これまでの研究成果として、統一テーマを「労働関係の変容と集団的労使関係法理の再構築」として、川口は「労働関係の変容と勤労者・労働者概念の再構築」、地神は「労働関係の変容と組合活動法理-労働組合による情報宣伝活動を中心に」、植村は「非正規雇用と労働条件の集団的規律」、山本は「労働関係の変容と労働組合法理」、労使関係研究会にゲストとして参加し、日本労働法学会137回大会の大シンポジウムでも報告者となった岩永昌晃(京都産業大学教授)が「親子会社類型における団体交渉上の使用者」というタイトルの論文を掲載し発表する。 第二に、第一の論文掲載・発表に加えて、研究代表者、研究分担者、研究協力者の各自が、「労働関係の変容と集団的労使関係法理の再構築」と本研究の5つの課題に関連する、図書刊行、論文執筆、判例研究等を行い、社会に研究成果を公表する。
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Causes of Carryover |
次年度使用が生じた理由は、コロナ・ウイルス問題等により、①2020年度に開催した労使関係研究会につき、研究協力者の一部がオンライン参加となったため、当初予定していた交通費・宿泊費等の一部が不要となり、また、②研究代表者、研究分担者、研究協力者が参加・報告を予定していた関西労働法研究会、労働法理論研究会、京都労働社会保障判例研究会の一部、及び、日本労働法学会がオンライン開催となっため、当初予定していた交通費・宿泊費等の一部が不要となったためである。 当該額については、2021年度の研究会開催費用、参加に必要な交通費、ゲストへの謝礼、文献・パソコン等の備品購入費に充てることにする。
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Remarks |
山本陽大・井川志郎・植村新・榊原嘉明『JILPT資料シリーズNo.238 現代ドイツ労働法令集Ⅱ』(労働政策研究・研修機構、2021年3月) 山本陽大・河野奈月・地神亮佑・上田達子『労働政策研究報告書No.205 労災補償保険制度の比較法的研究』(労働政策研究・研修機構、2020年9月)
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Research Products
(18 results)