2019 Fiscal Year Research-status Report
アメリカ大統領による法に依拠しない法執行能力の獲得:覚書という大統領令を中心に
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19K01446
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
梅川 健 首都大学東京, 法学政治学研究科, 教授 (40635033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 和行 福岡大学, 法学部, 教授 (90433119)
梅川 葉菜 駒澤大学, 法学部, 講師 (60780517)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アメリカ政治 / 大統領制 / 大統領令 / 大統領覚書 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の以下の3点に取り組んだ。 1)オバマ政権における大統領覚書(presidential memorandum)についてのデータ・セット構築を進めた。アメリカ大統領が行政組織に下す命令は、大統領令と日本語で総称されているが、その中には「行政命令(executive order)」や「布告(proclamation)」、本研究で注目する「大統領覚書」を含む。覚書は近年の大統領によって多用されるようになった形態であり、オバマ大統領は根拠法を示さずに行政組織に命令を下した。覚書についての研究は始まったばかりであり、今年度はまず、覚書についてのデータ・セットの作成に取り組んだ。
2)大統領が覚書によって、根拠法を示さずに命令を下した場合、その行動は他の権力主体によって抑制されうるのだろうか。アメリカ大統領に対抗しうる部局としては、連邦議会、連邦裁判所が真っ先に浮かぶが、連邦制をとるアメリカでは州政府も大統領に対抗しうる存在である。この観点から、大統領に対抗する州政府の行動についての研究をすするため、文献・資料の収集に努めた。
3)大統領が覚書によって、根拠法を示さずに命令を下した場合、命令された行政組織はどのように対応するのだろうか。この問いを明らかにするために、具体的な事例研究を行った。オバマ政権期、アメリカでは移民法改正が失敗し、大統領覚書によって「若年層向け強制送還延期プログラム(通称DACA)」が実施された。そもそも立法が必要とされた改正を覚書で実現しようという試みであった。行政組織が実際にどのように対応しようとしたのかについて、文献・資料の収集に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に沿って研究を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、今年度の準備に基づいて、1)覚書の特徴についての計量的分析に取り組み、2)覚書に対抗する州政府の行動についての事例研究、3)DACA実施にかかわる行政についての事例研究を進める。
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Causes of Carryover |
2020年3月に予定していた資料調査を取りやめ、文献・資料の取り寄せに切り替えたため。
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Research Products
(1 results)