2019 Fiscal Year Research-status Report
大規模災害時に対応した「市民防災」体制の構築に関する研究
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19K01485
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
牛山 久仁彦 明治大学, 政治経済学部, 専任教授 (30308704)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
幸田 雅治 神奈川大学, 法学部, 教授 (10635460)
飯嶋 曜子 明治大学, 政治経済学部, 専任准教授 (20453433)
田村 達久 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (60304242)
山岸 絵美理 大月短期大学, 経済科, 助教 (60756625)
三浦 正士 長野県立大学, グローバルマネジメント学部, 助教 (90836355)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 危機管理 / 協働 / 自治体 / 地方自治 / 防災 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度においては、本研究の中心テーマである「市民防災」にかかる先行研究、災害時における「市民防災」についての対応状況などの調査・研究を実施した。 日本においては、阪神淡路大震災、東日本大震災を始めとした激甚災害が全国各地を襲っており、国・自治体を通じた防災対策が進められているものの、行政による対応だけでは限界がある。そのために、市民自らが防災時に自助・共助による災害への備え、対応を進めることが求められており、具体的な取り組みが各地で行われている。本研究では、そうした取り組みを「市民防災」(civil defense)と捉え、それらについての国内外の取り組み事例を蓄積し、あわせて自治体が政策として取り組みを行い、大規模災害への対応を準備している事例等を収集した。 また、今後日本では、東海地震、東南海地震、南海トラフ地震などの災害が予想されており、大規模な津波が沿岸地域を襲うことが危惧されている。それに対して、国・自治体を通じて、防潮堤の建設や津波避難タワーの整備等が進められているが、それらについての具体的な事例を検証し、あわせてそれについての市民の意識や「市民防災」への自治体の取り組みを検証するために、研究会メンバー全員で浜松市における現地調査を行い、浜松市、静岡県の担当者からヒアリングを実施した。 いうまでもなく、日本では、今後もさまざまな災害被害が予想されており、「市民防災」の対応すべき事象も多様である。研究2年度目においては、そうした多様な災害の勃発に対し、どのような「市民防災」体制が求められているのかについて、海外調査などを通じて諸外国の事例なども検討し、最終年度の研究のまとめにむけて、論点整理を重ねていくことを予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の初年度にあたり、市民防災についての先行研究、理論研究の整理を行い、あわせて日本国内における市民防災の現状について資料収集とヒアリング等の現地調査を実施することを計画した。 市民防災については、日本においても消防団や地域防災組織の活動等によって、一定の取り組みが行われ、東日本大震災以降、自治体の政策も強化されてきており、中央政府においても問題意識をもって取り組んでいると見受けられる。しかし、同時に、災害時における市民防災体制が十分に整備されているとは言えない現状もあり、また地域差も散見されるとともに、諸外国に見られるような積極的な取り組みには至っていないと思われる点もある。また、国や自治体による大規模防潮堤や津波避難タワー建設といった対応と、市民防災がどのようにリンクしているのか、また、行政担当部署と市民防災の担い手たる住民組織の連携についても、課題がある。 研究初年度においては、そうした実態を把握し、それらについての先行研究、自治体の取り組み事例の収集を行うと共に、それらの実証的な研究のために現地調査を実施し、また参加メンバーの議論を通じて、論点整理行い、次年度に向けた研究計画の精査を行う事ができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究2年度目においては、諸外国における市民防災への取り組みや制度化の状況について調査・研究を進め、日本における市民防災体制の構築・強化に向けた提言に向けて議論を進める。 日本における市民防災の体制としては、消防団等の市民防災組織や地域防災組織など、地域の地縁団体等による取り組みが見られるが、諸外国においては、より強固な市民防災への取り組みが存在しているものがある。すでに、本研究に先行する研究では、ニュージーランドやスイスにおけるcivil defenseの取り組みについて調査を実施しているが、今後はそれらについての精査を行い、あわせて他の国における市民防災の取り組みがどのようなものであるかについて、現地調査も含めて実施し、事例の把握に努める。具体的には、今後の研究会における討論の中で調査対象国を決定するが、限られた予算の中なので、現地調査に加え、各国政府のWEB上で公開されているデータや事例研究にも目配りしながら、参照事例を拡大していきたい。 ただ、新型コロナ感染拡大の影響で、海外事例調査の実施にはさまざまな困難が予想されることもあり、海外調査実施の時期や方法などについては検討が必要で、海外事例調査が実施できないような状況が生まれた際の代替措置について考えておく必要があると考えている。 なお、こうした調査・研究に加え、最終年度の研究のまとめにむけて、市民防災の考え方についての理論的研究を深化し、政策提言に向けて研究の進捗を図るものである。
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Causes of Carryover |
初年度において実施予定であった、国内現地調査が予定回数を下回ったことに加え、次年度における海外事例調査研究に要する費用も想定されたことから、次年度使用額として繰り越すこととした。
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